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ドイツ現地レポ

更新2017.05.02

公開2017.05.02

公共駐車場も無料に?Hナンバーに続く新制度「Eナンバー」はEV車普及に繋がるか

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NAO

ドイツの「Hナンバー」制度は、カレントライフ上でこれまで何度もご紹介してまいりました。それだけに少しずつ、確実に認知されつつあるようです。

ドイツのナンバープレートは、基本的に末尾が数字で終わります。末尾が記号やアルファベットなのは、ヒストリックカーを表す「H」ナンバーと、一定期間のみ走行が許される「シーズンナンバープレート」のみとなっています。

しかしこの度、新しく「E」が仲間入りしたのです。「E」というアルファベットから分かるように、Eナンバーは電気自動車(EV車)に与えられるものです。

Eナンバー制度とは?



今回、ご紹介する「Eナンバー」は、2015年より施行された電気モビリティ法に基づいて始まった制度です。2017年初頭より、22,609台の電気自動車にEナンバープレートが与えられました。

Eナンバー制度の対象となるのは、電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド車のうち、
●50g/km以下のCO2および有害ガス排出量
●1度の充電における走行可能距離が最低30kmであること

(電気のみでの走行に限る。2018年1月からは最低40kmに条件引き上げ)

以上の条件を満たす車輌に限られています。

Eナンバー申請に発生する料金は27ユーロ(約3,200円)。ちなみに、今のところEナンバーへの交換は任意となっています。上記の条件を満たしていながら、ナンバープレートを交換していない場合でも違反になることはありません。

ドイツにおけるEナンバーはメリットなし?

現時点でのEナンバーのはっきりとしたメリットは、
●専用駐車場の確保(充電ステーション設置箇所なら24時間駐車可能)
●公共駐車場での利用無料または割引
●バス専用レーンなど特定道路での走行が可能
●通行止め地域の走行免除


となっています。つい最近、ドイツ国内のアウトバーン有料化が決定しましたが、電気自動車は課税対象外となっているので、これも1つのメリットと言えるかもしれませんね。

と、言いながらも、これらはあくまでも法律における「推奨」であり、州や市によって規定が変わっています。住む街によっては、充電ステーションがまだ設置されていない場合もありますし、公共交通機関専用レーンの開放をしていない都市もあります。現在これらの利点を提供しているのはハンブルクやシュトゥットガルトなどの大都市のみ。そのため、この無料駐車のためだけに電気自動車を買っていいのか?と悩んでいる人も少なくありません。

そしてなぜこんなにも地方が非協力的であるかというと、公共駐車場を無料開放することにより、地方自治体にカネが入らず経済が潤わないという理由があります。

そして一番の問題は、自家用車が公共交通機関の専用レーンを使うことで、公共交通機関の乱れが発生する可能性があるということです。ドイツではバスレーン上で路面電車も多く走っているので、平日ラッシュ時ただでさえ遅延が増える大都市ではさらに交通が麻痺する恐れもあります。


▲ハイブリッド車なら、条件を満たしていても化石燃料使用の割合が強くなってしまえば環境保護も意味がないという意見も

国がこれだけキャンペーンを入れても、地方自治体が重い腰を上げないため、電気自動車を買い渋るドイツ人たち。ドイツ政府は「環境プレミア」として、完全電気自動車の場合は5,000ユーロ(約60万円)、ハイブリッド車には2,500ユーロ(約30万円)の補助金システムを導入しています。ですが、電気自動車の登録台数は未だ6ケタ台までは届いていません。

現時点では、Eナンバーを持つメリットは特別大きいわけではありません。しかし、2030年までに化石燃料エンジン車を廃止していくドイツの政策において、今後は利点が増えていくのだと予想されます。Hナンバーとはまた違い、現段階では国民どころか都市単位でまだEナンバーが浸透していない印象を持ちます。電気自動車、またはEナンバーを持つべきか否か?ここは自分の住む街のインフラ整備状況や、使用頻度などしっかり考えたうえでの決断が重要ですね。

[ライター・写真/NAO]