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更新2017.08.28

自動車ライターの友人から学んだ「継続」および「メンタル」のどえらいパワー

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伊達軍曹

ご存じの人も多いかもしれないが、マリオ高野くんという自動車ライターがいる。熱狂的なスバリストで、スーパーGT SUBARU BRZ GT300の公式応援団団長も務めている。彼はわたしの友人というか後輩というか、まあ簡単に言ってしまうと友人なのだが、今日、彼に関するものすごいものを見てしまった。具体的には「継続」および「メンタル」という物が持つどえらいパワーである。

キャッチボールもマトモにできなかった男




マリオ高野くんは、わたしが主宰する中年草野球チーム『東京フォッケウルフ』で外野手を務めている。で、本日朝6時から某所で行われた早朝練習にてマリオ外野手は、センターやや後方に飛んだフライに対して軽快に後退しつつ、「シュタッ!」と見事な体勢で捕球。そして中継プレーに入った遊撃手、つまりわたしに向かってどストライクの返球をよこしてきたのだ。

「……草野球とはいえ、外野手が比較的シンプルな外野フライを取って、そんでもってショートにちゃんと返球するのは、まぁ普通といえば普通のことでは?」

あなたはそう言うかもしれない。確かにおっしゃるとおりだ。

しかしわたしは、10年前のマリオ高野くんの無残な姿を知っているわたしは、どうしてもそう思うことができないのだ。

今から10年前の2007年。中年草野球チームの設立を目論んだわたしは、当時同僚だったマリオくんを誘い、会社近くの神社裏手でキャッチボールの練習を始めた。野球なんて約30年ぶりなので、「まずはキャッチボールから」と思ったのだ。

わたしは、30年ぶりとはいえまぁフツーぐらいには投球および捕球ができた。

しかしマリオくんは違った。

右投げの彼がボールを真っ直ぐ投げようとすると、リリースポイントが悪いのか、球は彼から見て左方向に思いっきり逸れる。「もっと真っ直ぐ、なんだったら右方向に投げてみるイメージで!」と言うと、今度は右方向に大きく逸れる。由緒ある神社の壁面を破壊せぬよう、わたしは渾身のジャンピングキャッチを繰り返した。

捕球についても困難を極めた。ごく普通の速度の、胸や顔あたりに向かってくるボールを捕球することができず、まるで昭和のプロ野球ニュースにおける宇野選手のようにおでこにボールを当て続けた。それだけならまだしも(マリオは痛いだろうが)、ごく普通の正面の球を後逸してしまうため、やはり由緒ある神社を破壊しそうになった。

「マリオ……今日のところはとりあえずやめとこうか」

わたしは彼にそう告げた。お昼休みのキャッチボール練習はその後、二度と再開されることがなかった。

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不屈の魂で練習を継続し、劇的な進歩を遂げる




あれから8年が経過した2015年8月。わたしは前述の中年草野球チームをやっと発足させることができた。チームには当然、友人であり、(観るほうの)野球経験豊富なマリオ高野くんも参加した。

だがあれから何の練習もしていないのだから、当然マリオくんはマリオくんのままだった。

打撃のほうは長年バッセンで独り黙々と鍛えていただけあってなかなかのモノなのだが、守備はからきしだった。外野フライの落下点に入ろうとすれば、その目測には軽く3m以上の誤差が生じていた。たまたま目測が合うと、やはり宇野選手のようにおでこにボールをぶつけた。

「これはダメだ……」と内心思ったわたしは、主将として彼に「君は守備では使わない。DH(指名打者=守備をしないで打つだけの人)として頑張ってくれ」と告げた。

しかし彼は腐ることなくその後2年間、ほぼ皆勤賞のレベルでチーム練習に参加し続けた。まぁそれで徐々に上手くなれば美談なのだが、1年経っても1年半経っても、やっぱりマリオくんはマリオくんのままだった。おでこにいつも絆創膏を張っていた……というのは嘘だが、まあそんな感じだった。

しかし初練習から1年半ほどが過ぎたある日、マリオ外野手に変化の兆しが見えた。

相変わらず落下点の目測は誤っているのだが、その誤差が「3m」から「1m」ぐらいに縮小している事実をわたしは把握した。その後1mは50cmになり、最近では「おおむねの落下点には入れる」というぐらいまで進歩した。

だが、まだ落球を続けた。

道具だけでなく「メンタル」が身体の動きを左右する




フライの落下点には入れてるのに、なぜ取れないのか……ということを高校球児だったK選手が調査すると、原因はグラブにあるようだった。「久保田スラッガー」という、自動車で言うとスバルみたいな(?)実力派メーカーのちゃんとしたグラブなのだが、マリオくんのは内野手用の小さなモノゆえ、外野手には向いてないというのだ。

K選手のアドバイスに基づき、彼は米国ローリングス社の外野手用高級グラブをオーダーしてこました。

そのグラブの「デビュー戦」が本日早朝だった。

冒頭のとおり、彼は見事に捕球した。「たまたま」ではない。何度も何度も、正確に捕球した。……1回ぐらいおでこに当てていたような気もするが、せいぜい1回だ。そして飛球を追って捕球体勢に入るまでの身のこなしも、なかなか堂に入っていた。ちょっとプロっぽく見える瞬間すらあった。

彼がこの大飛躍を遂げた大きな理由の一つは「継続」だろう。ド下手であることを自覚しても、主将から守備者失格と宣告されても、「継続は力なり」の精神であきらめずに練習を続けた。その結果が、本日ついに現れたのである。

もう一つは「メンタル」であるはずだ。

これまでは、フライが来ると彼はどうしてもへっぴり腰となり、顔には「うわっ、やばっ、どないしよ」と書いてあった(彼は関西人なのだ)。しかし本日は、前述のとおりプロっぽい腰つきとプロっぽい顔つきで、美しく捕球していた。それはもちろん「継続」のおかげでもあるだろうが、つい2週間前のチーム練習では相変わらずのへっぴり腰だったことを考えると、それだけが理由とは考えにくい。

やはり「このグラブがあれば俺は取れる」というマインドセットが、彼の身体に直接の影響を与えたのだ。人体の不思議、精神の神秘である。

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ならば、わたしがランボを買うのも不可能ではないはず




以上、長々とクルマとは無関係な内容を語っているわたしに対し、そろそろ「コイツは何が言いたいんだ? 馬鹿なのか?」と思い始めた人もいらっしゃるだろう。

わたしが馬鹿者であることは特に否定しないが、つまり言いたいことはこうである。

「正しい方法で正しい努力を長きにわたり継続させ、そしてメンタル面を正しく調整し続ければ、この世に不可能は(ほぼ)ない」

この理屈が正しいのであれば、今は赤貧にあえいでいるわたしであっても、数年後には中古のランボルギーニ ウラカン ペルフォルマンテ程度は買えている可能性がきわめて高い。そうでなくても、空冷ポルシェ911とか。

以上の観点から、わたしは先ほど小銭貯金箱に100円硬貨数枚をチャリンと入れた。この行動は、明日以降も確実に継続させるつもりだ。そしてこの後は古本屋で買ったナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』を読みつつ昼寝し、睡眠学習効果によってポジティブなマインドの定着を図る所存だ。

ではそういったモロモロで多忙なため、本日のところは失敬する。御免。

[ライター/伊達軍曹]

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