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コラム

更新2017.08.23

相応の覚悟と情熱で「クラシックカーオーナーへの道」を歩んでみよう

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鈴木 修一郎

以前「相応の覚悟が無ければクラシックカーのオーナーになるのは無理」と書きましたが、今回はそれでもなおクラシックカーへの情熱が抑えされない、少々の出費と苦労は承知の上でとにかくクラシックカーが欲しいという方へ、クラシックカー購入のヒントになりそうな事を書いておきたいと思います。

ただし、先にお断りしておきますがクラシックカーの入手方法に正解はありません。筆者が結果的に上手くいったというだけで同じことをしても上手くいくという物では無い事をご了承願います。

何度も申し上げますが、とりあえずカッコいいからクラシックカーに乗るというのは厳禁です。「自分、お金の使い道に困ってるんで」という方であればまた別の話ですが、現実的な範囲内で考えれば情熱と資金を無駄にするだけです。その上でまずクラシックカーの購入を検討するのであれば、どういう基準で選べばいいのか、筆者が推奨するのは「最初から一番欲しいクルマを狙う事」です。

とはいってもいきなりトヨタ2000GTとかハコスカ・ケンメリのGT-Rというのは極端ですが、ハコスカGT-Xやヨタハチあたりのクルマに本気で惚れ込んでいるのであれば、最初から寄り道せず一番欲しいクルマを買う事を考えるのがいいと思います。

最初から一番欲しいクルマを探すのが最良の方法?



▲いっそ遠回りせず、最初から本命を狙ってしまうのも……

あるクラシックカー専門誌で掲載されていたクラシックカーオーナーの言葉を借りれば「余計な回り道をしないで最初から本命を狙え」、変な所で妥協したり代替案を選んだところで結局、納得できなかったり情熱が続かなくなるというのはよくある話です。そんなことに無駄な労力と資金を使うくらいならやっぱり最初から一番欲しいクルマを探すのが最良の方法かと思います。また、本当はもっと古い年式のクルマが欲しかったけど、維持しきれる自信が無いから折衷案のつもりで中途半端に新しい年式のクルマに手を出すというのも厳禁です、電子制御デバイスや樹脂パーツの劣化といった違う形でドツボにハマります。

何より車種を絞り込むことで、入手前からその車種、年式、グレード等の固有の不具合や弱点等の情報収集がしやすくなります。ここに関しては少し「視野狭窄的」になるくらいがいいかもしれません。あれこれ調べずそのクルマに関する資料や情報を一点集中で集めるだけで済みます。SNSやイベントなどでお目当てのクルマのオーナーと交流してみるのもいいかもしれません。

クラブによってはそのクルマを所有していなくても加入できるクラブもあります。可能であればミーティングにお邪魔して、複数の同型車を見比べて、実際にどこを直したとか何処に気を付けて乗っているかを現車を見ながら聞くのもいいかもしれません。何より、様々な現車を何度も見比べる事で自分の愛車候補を品定めする時の審美眼が磨かれていきます。

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自分の愛車候補の見極め方とは



▲思い切って様々な仕様、コンディションで同じクルマを見比べる事の出来るワンメイクミーティングに行くのもいいかもしれません

何処まで絞り込むかの見極めは難しいですが、目安としては年式(後期型・前期型等)とグレードとフルノーマルかモディファイ仕様かくらいはある程度まで絞り込んで、ついてるパーツやオプションと色は好みのが出たらラッキー、新車当時のナンバープレートが引き継げたら超・超・超ラッキーと言ったところでしょうか。「本命を狙う」とはいっても譲れる部分と譲れない部分は一線を引いた方がいいかもしれません。

今、この記事を読んでる皆様の中には「それでも、初心者向けのクラシックカーってないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。何をもって「初心者向け」と解釈するかにもよりますが、普通に乗っていてもあちこち壊れて修理、交換、調整の繰り返し、ガソリンを入れて、オイル交換だけしていればとりあえずは何もしないでも乗っていられる今どきのクルマに乗っているのと比べれば、もうクラシックカーに乗るという時点でかなりハイレベルな行為です。金額の差はあれど普通に乗るだけで苦労するという点ではスバル360でもトヨタ2000GTでも同じです。

スバル360は筆者でも自力でエンジンを組めるまでになりましたが、なかなか手に入らない部品も多く、その点では人によってはナローポルシェや縦目メルセデスのほうが金額は張っても確実に部品が手に入るから楽と感じる方もいるかもしれません。特に輸入車の場合、車種によっては現地から直接部品を仕入れてる専門店の場合、整備費用が思ったより安く済むというケースもあるようです。


▲スバル360は自分で部品を調達して自分で直せるという人であれば「お手軽に楽しめる」といえないことも無いですが、相応のメカニックの知識とDIY整備のできる環境と工具類を揃える必要があります

筆者がスバル360とセリカLBを選んだワケと購入方法


筆者の場合は極端かもしれませんが小学生の頃からスバル360に乗りたいと考えていたので、実際に購入するまで15年間スバル360の事ばかり考え続けて、スバル360に関する文献はどんな些細な物でもむさぼり読んでいました。特に桂木洋二著「てんとう虫が走った日」を手に入れた時は巻末の仕様変更の年表を見て年式ごとにどこが変更されたのか、それこそエンブレムの形やバックミラーの形の変更まで丸暗記していた時期もありました。

セリカLBは高校生になってから偶然、亡父がマーク2の前に乗っていたというセリカLBの当時のオーナーズマニュアルが戸棚の引き出しからでてきて、そこから改めて初代セリカLBに興味を持ち始め、スバル360と並行してこちらも購入まで10年間、年式ごとの変遷やグレード体系、装備品などを調べつくしていました。

筆者のような甲斐性無しでもどうにかスバル360とセリカLBのオーナーになれたというのは、今の今までスバル360とセリカLBの事だけを考えて、他のクルマに乗ることを全く考えていなかったので出来た事なのかもしれません。最近心が揺れているというオールドメルセデスはまだまだ迷いがあるので当分先になるでしょう。

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クラシックカーの探し方も変わってきている


次に、どういう方法で購入するかですが、王道はクラシックカー専門誌の広告や売買欄を探す、古式ゆかしい方法なら、前述のとおり自分のお目当てのクラシックカーのオーナーとあらかじめ知り合って紹介を待つ、だと思いますが今ならネットオークションやクラシックカー専門店のWebサイトを探すでしょうか。官公庁オークションは時折、20年以上使っていた公用車や作業車の払い下げが出る事があり時折チェックしています。

筆者がスバル360を購入した当時は、まだインターネットが普及する以前で当然インターネットオークションも無ければクラシックカー専門店のWebサイトという物も無く、情報はクラシックカー専門誌の広告と売買欄とオーナー同士の情報交換くらいしかなく、詳細は現車を確認するまでわからず、最終型のスーパーDXという希望通りの個体がイベントで知り合った他のスバル360オーナーの紹介で見つかるまで3年近くかかりました。

一方セリカLBの購入を考え始めた頃は光回線が普及し始めネットオークションによる自動車の売買も盛んになり、クラシックカー専門店が自社サイトを持つのが当然になり、昭和48年式のフルノーマルのLB2000GTという周囲からは「まず見つからないよ」といわれた、希望の物件でも探し始めて半年もかからなかった時はスバル360の時を思えば隔世の感を覚えた物です。

スバル360の時は現車を見るまでは電話で話を聞くだけだったのですが、たった4年後のセリカの時は、先方にいえば見たい箇所の画像を送って貰えるまでになりました。最近はツイッターを見ているだけでも時折タイムラインに極上コンディションのクラシックカーの販売情報が流れて来るので、どうやって探すかよりも情報の取捨選択と目利きのほうが重要かもしれません。


▲関東のとあるクラシックカー専門店から送られてきた、購入前の筆者セリカLBの画像。これと数枚の内装の画像だけで判断して名古屋から埼玉まで出たとこ勝負の現車確認に行きました

筆者の時はお目当ての出物が見つかるまで最低でも月単位、場合によっては年単位の辛抱を強いられる事も珍しくありませんでしたが、ここまでネット上の情報が充実している現在、1週間単位、1日単位、場合によっては探し始めて数時間で見つかることもありうると思います、そればかりか今はWebサイトのフォーム上から、内装、外装、フロア、下回り、エンジンルーム、ラゲッジルームまで画像で確認できるので、少ない外観の写真だけ見て現車確認は出たとこ勝負……なんてことも無いかもしれません。

あなたも一歩踏み出してみよう


近年はクラシックカーの市場価格の暴騰がクラシックカーオーナー共通の悩みの種になっているのは皆さまご承知の通りかとは思いますが、一方でそれだけ市場の流通量が増えているという証でもあり、市場に放出されるクラシックカーも増えているという事を意味しているのかもしれません。実際、筆者のツイッターのタイムラインには時折「念願の〇〇を買いました」という新規のクラシックカーオーナー、それも中には免許を取って間もないのに1970年代以前のオールドタイマーのオーナーになった若者のツイートが流れてくることがこの1~2年急に増えているようにすら感じます。

クラシックカーを取り巻く社会の環境は厳しくなっていますが、クラシックカーに乗るための環境は確実に良くなっている部分もあります。「相応の覚悟と情熱」に自信があるのなら一歩踏み出してみるのも良いかもしれません。また機会があれば、どういった店、メカニックを頼ればいいか、実際にクラシックカーオーナーになったら何を揃えて、何に気を付ければいいのかも書いていこうかと思います。

[ライター・カメラ/鈴木修一郎]

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