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コラム

更新2018.04.25

クラシックカーが8000キロの距離をトラブルなしで走るミラクル

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中込 健太郎

8000キロの距離を、ノントラブルで重ねることができたことには純粋に有り難いことと感謝しなくてはならないでしょう。この距離を走ったマセラティ430の状況に少し触れたいと思います。

全体的に柔らかくなって来た


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購入する前に比較的大きな整備を経ていたマセラティ 430。ここにきてようやくいろんなところに「アタリ」がついてきました。執拗なまでに低重心にこだわった、各メカニカルな要素の搭載レイアウトの効果を一番感じるのが、緩いカーブの角をてっぺんに緩い軌跡をなぞりながらカーブさせるような場面です。もちっと粘る感じは早々感じていましたが、より柔らか。より軽やかなのです。

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ミッションのシフトがつながる瞬間のショックなども随分柔らかくなり、サスペンションのしなりも心地よいものになりました。周囲の評判からすると大いにおかしい、異常だといわねばなりません。何が異常かと言えば「故障が無い」のです。このいたって何事も無いことは、ビトゥルボ系マセラティとしては異常だといってもいいのではないか。日々の感謝と引き換えにそんな気持ちにすらなるほどです。クルマがクルマなだけに、あまりこの距離をノントラブルで心地よく、ドライビングフィールを感じることができるということ自体奇跡といえば大げさですが、少なくとも希有なことには違いないでしょう。この感覚を味わえていることに感謝しなくてはならないのでしょう。

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一般的には入院しがちなクルマ


一般的には「入院がち」なクルマながら、結構その低い信頼性は棚に上げて「GTなんでしっかり長距離お乗りください」と涼しい顔でいってくるようなところがこのクルマにはあるのです。たしかに乗るほどに電装品の動きが良くなってきました。また高い頻度で乗れていないと再び劣化しだす面があります。もしかしたら、摺動部品のグリスが若干の熱とともにうまく行き渡って来たというようなこともあるのかもしれません。このクルマは数回に渡って大きい修理というかリフレッシュをしており、私の購入の直前にも内装からトランスミッションなど手直しが入っていたようです。

とにかく納車直後より確実に滑らかにスムーズに動くようになっています。ただ、前から思っていることがあります。クルマの造り自体は「どうぞどんどんお乗りください」というにもかかわらず、おそらく新車当時からまったく伴っていない製造クオリティだったんだろうなあ、としばしば感じさせらました。乗るほどにシガーソケットの導通が良くなり、(タバコは頂きませんので、もっぱらモバイルOAの充電などに使っておりけっこう使える使えないで死活問題だったり)サンルーフ、ウィンドウの動きもスムーズになってきました。

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新車当時から乗られたかたのお話を伺うと、かなり「工場入庫率」「工場滞在時間」が長いクルマだったと聞きます。一部には「もっとも壊れるクルマ」などという不名誉な称号すらちらほら。しかし、ちゃんと動かしてあげればしっかりなじんでくるクルマ。ほかの何にも似ていない「まぎれも無いマセラティの世界」を見せてくれるクルマなのです。しかし、その「ちゃんと動かしてあげれば」がこのクルマに取ってかなりハードルの高い話。二律背反なメッセージを同時にわめき続けているようなクルマなのです。しかしそんな、どこか悲哀を抱えつつ、そこに対して「嗚呼。孤高だ」とか思えてしまうあたり、いよいよ私もトライデントの魅力を少しづつ腹落ちして実感し出したかしら…そんな風にも思い始めております。蜜月はまだ続きます。いやこのクルマはどんなに今具合が良くても、油断は禁物です。「蜜月が続いて欲しい」と切に思うのです、と訂正しておきたいと思います。

[ライター・画像/中込健太郎]

※当記事は過去公開した記事の再編集版です