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更新2017.07.12

クラシックカーライフを満喫できる、最先端のカーオーディオとは?

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鈴木 修一郎

クラシックカーオーナーの皆様が地味に困る事にオーディオというのがあるのではないでしょうか?1DINサイズのカセット一体型電子チューナーが普及した1980年代以降のヤングタイマーなら、いっそ現行品のオーディオをインストールするというのもアリかもしれません。

1970年代以前のオールドタイマーとなると、現行のオーディオをインストールするとどうしても見た目が……とかラジオが専用品で現行の1DINオーディオを取り付けるにはコンソールに加工を要するのは気が引けるとか、そもそも今どきのオーディオを後付けすること自体見た目が浮くので抵抗を感じるという人もいるかと思います。ちなみに筆者の場合は、1DINのDVDプレイヤーつきFM/AMチューナーをグローブボックス内に取り付けました。



そんな中、またもや海外の、今度はアメリカのクラシックカー用品で魅力的な物を見つけました。その名も「レトロサウンドラジオ」です。


▲見た目は昔懐かしいプリセットボタン式ラジオながら周波数表示はこの通り今どきの液晶式

その名の通り、外見はレトロなクラシックカー専用のカーラジオなのですが、なんとこのラジオ、クロームやホワイトのつまみにプリセット式選局ボタンのレトロな外見とは裏腹に、blueToothやUSB、i-Pod等の最新の携帯音楽デバイスに対応した最新技術満載のクラシックカー専用カーラジオです。携帯電話のハンズフリーにも対応しているため、クラシックカーでありながら走行中電話がかかってきても、ラジオのノブスイッチ一つ回すだけでハンズフリー通話が可能になるという優れものです。

中でも、VWやシボレーベルエア・インパラ、フォードマスタングといったメジャーな車種なら純正ラジオと同様の化粧パネルが用意されています。更に国産クラシックカーオーナーには有難い話でDATSUN240Z/260Z専用デザインのパネルもあり、S30Zのオーナーの方には朗報とでもいうべきラインナップではないでしょうか?


▲ユーロタイプパネルの一例、レトロサウンド本家の画像集にはDATSAN240Z(=S30型日産フェアレディZ)用アクセサリーもありました

また車種専用パネル・ノブ以外にも主に1960~1970年代の様々な車種をイメージしたレトロデザインのパネルやノブのアクセサリーパーツが多数用意されているので、前面パネルとノブの組み合わせでご自分の愛車に合った外見にすることも可能です。

しかし、どうしてこんな事が可能なのだろう?と思って製品の紹介サイトをよくよく見たら、あえて1DINサイズに拘らなかったというのが目から鱗でした。CDプレイヤーをオミットし、外部接続の携帯オーディオの再生に特化することで、チューナーとアンプ部分を中央にコンパクトにまとめ、ボリュームスイッチ部分を独立させる事で様々な取り付けサイズのカーラジオスペースに対応させるというのは逆転の発想とでもいうべきでしょうか。


▲チューナー&アンプ部分とツマミスイッチを独立させることで様々な車種のラジオの取り付けサイズに対応させています

CDプレイヤーが無い事に関しては、いっそAUX接続でポータブルDVD・BDプレイヤーのスピーカーアンプにしてしまうという使い方もわるくないかもしれません。筆者自身、現在レストア中のスバル360もこのユーロタイプのフロントパネルにポータブルDVDプレイヤーを組み合わせてしまうというのもありかも……なんて思っています。

日本ではマイボウズ(http://mybows-depot.net/)というVW専門店が正規代理店で、日本仕様のラジオ周波数に合わせたタイプを販売していています。(アメリカと日本ではラジオの周波数が違うため並行輸入品などの現地仕様のままでは使用不可能です)

冒頭で書いた通り、クラシックカーのインパネを見ると年式と不釣り合いな、今どきの1DINオーディオを取り付けているケースを見かけます。筆者のセリカLBの場合は、ダッシュボードスペース下の空きスペースに1DINデッキを後付けを経て最終的にお約束の(?)グローブボックス内に1DINデッキを仕込むという方法に落ち着きましたが、中には大き目の古い8トラデッキの中身をくりぬいて、8トラデッキの筐体の中に1DINデッキを仕込むという大技に出るオーナーもいると聞きますが、中には同じ部品を確保したうえでインパネの一部を加工したり切り取ってしまうというケースもあると聞いたことがあります。最近実際に見た中では、トヨタ2000GTでウッドパネルのラジオ回りを切り飛ばして2DINサイズのモニター一体型カーナビをインストールしたという豪気な(?)車両を見たことがあります。このとき私の口から出てきた言葉は…

「いや~、私だったらグローブボックスの中にモニター一体型ナビ入れますよ、もちろんソニー製で(トヨタ2000GTのグローブボックスにソニー製モニターといえばわかる人にはわかります)」

でした。(苦笑)

しかし、このレトロサウンドラジオであればラジオインパネの形状に合わせてラジオを取り付ける事が可能、しかも年式車種に合わせて様々なフロントパネルやノブが用意されているので、雰囲気を損なうことなくクラシックカーで最新デバイスのカーオーディオを堪能することが可能です。特に古い輸入車で今どきの国内ブランドのオーディオを付ける事に抵抗を感じる方はレトロサウンドラジオを付ける事も一考ではないでしょうか?

レトロサウンドに関してはマイボウズのオフィシャルフェイスブックでも紹介されています。(https://www.facebook.com/mybows.official)

でも、一方で「やっぱりオリジナルの純正ラジオを残したい、かといってオーディオを後付けするスペースが無い」という方もいるのではないでしょうか?そこでちょっと変わったサービスを提供しているクラシックカー専門店が、愛知県の愛知郡東郷町にあります。それがクラシックカーナゴヤ(http://www.n-classiccar-jp.com/)のミュージオ(MUDIO)というサービスです。

ミュージオというサービスは、車両に元々ついているカーラジオでもスマートフォンや携帯音楽プレイヤーで音楽を聴くことはできないか?という目的で、独自にクラシックカーナゴヤが始めたサービスです。外部接続の無いカーラジオでもFMチューナー付きであればFMトランスミッターで飛ばすという事もできますが、古い軽自動車や1970年代以前の車両ではAMラジオのみの車両も多くFMトランスミッターを使うことはできません。(余談ですがアンティークラジオで音楽を楽しみたい方向けにAMのトランスミッターも存在するようですが15,000~20,000円と少々高価です。)また、360ccの軽自動車の中にはシガーライターが装備されていない車両もあり、スマートフォン、携帯音楽プレイヤーを充電できないという問題もあり、それを一挙に解決する方法としてクラシックカーナゴヤが提案するのがこの「ミュージオ」です。




▲現在施工中のC10系スカイライン(ハコスカ)用ラジオ、USB下がAUX入力端子

仕組みはいたって簡単で、AUX端子をラジオのアンプ部分に割り込ませイヤホンジャックに、直接ラジオのアンプ部分をスピーカーアンプとして使うというもの。USB端子はラジオの電源部分に割り込ませてあり、充電ソケットとしてのみ使用可能、但しUSBメモリの再生には対応してないのでご注意ください。


▲ラジオ本体に穴があればそこから配線を通しますが、配線が通せそうな穴が無い場合は穴あけ加工を要するそうです

基本スペックはUSB電源×2、AUX端子×1となります。当初はUSB端子を単体で直接電源部分を割り込ませていたということですが、現在施工中のバージョンから規格サイズのシガーソケットでいったん電源を取り出してから汎用のUSB充電プラグを差し込むという方式になったそうです。


▲汎用のシガーソケット型の電源プラグも使用可能

勿論ソケットサイズはシガーライター規格のため、スマートホンの充電プラグに限らずシガープラグから電源を取るアクセサリーは全て使用可能となるため、前述のシガーライターの無い車両でもシガープラグ電源のアクセサリーの使用が可能となります。

肝心の音の方ですが、実をいうと筆者自身はベースがAMラジオと聞いて音に関しては大して期待していなかったのですが、「AM電波(中波)に乗せた音を受信して音声として再生する」という行程無しに、デジタル音源からエンコードした音楽データを直接アンプで再生するため、中波による音声の劣化無しに直接スピーカーアンプを通す事で、思ったよりも音声がクリアというのは目から鱗でした。ただし、モノラルラジオベースの場合ステレオ再生はできませんが、とりあえず聴けさえすれば良いというのであれば十分でしょう。

またチューナー部分が壊れていても、アンプが生きていれば施工可能との事で、ラジコ等のスマホのラジオ受信アプリを入れれば、FMも聴取可能になるなど話を伺えば伺うほど目から鱗、コロンブスの卵的な話ばかりでした。

ただし、注意点としては、

・AMラジオのみの機種が望ましい(よりシンプルな機種の方が施工が楽)
・現物確認が必要
・アナログタイプラジオのみ対応
・24Vタイプとデジタルチューナーは未対応(12Vプリセット式アナログチューナーのみ)
・ラジオの電源がACC電源ではなく常時電源の場合、後付けした電源ソケットに電流が流れっぱなしになるので、バッテリー上がり防止のためUSBプラグは抜いておく
・作業期間は2週間、施工代金15,000円+消費税

とのことでした。

ところで、ミュージオの施工の担当者はなんと女性の方でした。ご自身が元々昔のクルマについてる古いラジオでどうにかスマホや携帯音楽プレイヤーを再生できることはできないか?というのがこのアイディアの始まりだそうで、ハーネス製作も基盤への取り付けも、その方が全て担当とのことです。

どうやら、こういう細かい作業や電子基板ハンダ付けのというのは女性の方が向いているらしく、昔、ガス溶接の講習を受けた時も教官から「実は吹管を使った薄くて小さい鋼板のガス溶接は女性の方が上手い」とか、あるFA機器の制御基盤を修理改造している会社の社長からも「ウチの会社で一番熟練したはんだ付け技術を持っているのは20代そこそこの若い女の子なんです」という話を聞いたことがります。

クルマから話がそれてしまうのですが、その昔日本の東海楽器がアメリカのフェンダー社のストラトキャスターやテレキャスターといったエレキギターのコピー品を販売した所、逆に本家を凌ぐ性能で、ついにはアメリカのミュージシャンが東海楽器のコピー品の方を好んで使うようになり、とうとう本家のフェンダー社のほうが東海楽器に日本モデルの正規ライセンス生産を持ちかけたという逸話があります。これも実は日本のパートのおばさんが作っていたエレキギターの内部の電気部品の作りが、本家よりも丁寧な作りで高品質だったから結果として本家以上の音が出たという話をギターが趣味の友人から聞いたことがあります。

前述の通り、レトロサウンドラジオをスバル360に付けようかと思いつつ、一方でミュージオの現物を目の前にすると、いやミュージオもこれはこれで悪くないかも……それとも、いっそ普段はレトロサウンドでクラシックカーイベントに参加するときはミュージオの純正ラジオと使い分けるのもアリかも、とどちらも魅力的なカーオーディオです。

クルマと音楽、ある意味切っても切れない関係にあるこの二つの文化。快適なクラシックカーライフを送る上でのレトロサウンドラジオとミュージオ。是非いかがでしょうか?

【取材協力】
マイボウズ
住所:〒125-0031 東京都葛飾区西水元1-28−21
TEL:03-5648-3191
FAX:03-5648-3192
営業時間:AM10:00〜PM20:00
公式サイト:http://mybows-depot.net/

親和自動車&クラシックカーナゴヤ
住所:〒470-0151 愛知県愛知郡東郷町諸輪字福田27-1
TEL:0561-38-8170
FAX:0561-38-8214
営業時間:火曜日~金曜日 9:00~18:00
土曜日・日曜日・祝日 10:00~18:00(月曜日祝日の場合は火曜日定休)
公式サイト:http://www.n-classiccar-jp.com/

[ライター/鈴木修一郎 写真提供/マイボウズ、鈴木修一郎]

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