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試乗レポート

更新2023.11.22

歌舞いている!シトロエンDS5フォーブール・アディクトを試乗

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中込 健太郎

・MINIと同じ1600ccエンジン、つまり「BMW」のエンジンを積んだ
・トヨタ車と同じ「アイシン」の6速トルクコンバーター式オートマチックを積んだ
・故障リスクが低く、維持が比較的容易なコイルスプリングの「シトロエン」

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『理想的なクルマ』それがDS5


よく昔から、「シトロエンにBMWのエンジン積んでいたらなあ・・・」。「ミッションはトヨタ車みたいなわけにはいかないから・・・」そんな不埒な意見は少なからず聞いていましたので、このシトロエン、「理想的なシトロエン」である以上に、「理想的なクルマ」なんではないか。そう思ってやみません。

(編集部追記:当記事は過去配信した記事の改定版です)

乗るとそこまで「圧倒的な新鮮さはない」ものの、鼻先の軽さは確実に走行していると思うし、かつてのZXのような「ハイドロシトロエンでは追従しきれない凹凸をくまなく補完するような」粘着質でもっちりとしたスウィート・ライドまでは期待すべきではないものの、入力してくる路面の衝撃はしっかりと「面取り」がされていて、自動車の足回りとしての丁寧な仕事は以前感じることができるものではないでしょうか。

見かけはかなり例によって前衛に傾倒しすぎているような印象を受けたものの、乗ると、当然に心を高揚させる雰囲気もありつつ、しかしどこか居心地のよい、シトロエンのもてなしを感じることができるのです。

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その高級車は歌舞いているか?


フランソワ・オランド大統領の就任パレードでは、特別に制作されたキャンバストップ仕様のDS5が供されました。このクルマというのは、つねに最新にしてその時代のフランスを代表する最高級車でした。そういう意味ではこのクルマも、現在のフランスにおいての高級車であるというのは間違いないでしょう。そんなに大きなクルマではありません。しかしだからこそ、サイズや排気量ではなく、そのクルマが高級かどうかを裸で評価された結果でこのクルマは高級車と判断されたのではないか。そう感じるのです。

この、パリの高級ブランドショップが立ち並び、大統領執務室などもあるこの高級エリアでもある「フォーブール・ サントノレ通り」からネーミングされ、ハイセンスで洗練 された人々を Addict〜夢中にさせる、という名前を冠したこのモデルには、その大統領専用車のキャンバストップにあるのと同じ模様が「DS モノグラム」が ルーフステッカーで彩られ、まるでサンドブラストで模様を入れたようなグラスルーフが、いかなる空模様であっても、車内で過ごす乗員を退屈にさせないそんなもてなしまで用意されているのです。

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日本人の考える高級車の基準とフランス人の感覚はかなり違っているように感じます。日本人はクルマにいる感覚を忘れさせてくれるような静かさなどを重視するでしょう。クルマというメカニカルなものの存在を徹底して隠すかのような手法がとられます。それによって疲労を提言させ、快適性を向上させる。動力性能意外のそういうことに相当の労力が注がれることでしょう。

しかし、フランス人はそこで静寂は求めません。「特別な空間」に仕上げようとします。何より、ここにいる人でないと味わえない感覚、そういう世界の構築を大切にしていると感じます。そしてそういう特別な空間に身をおいて、そこから特別なインスピレーションを手にすることができる状況・状態こそに「高級」の価値を見いだしているように感じるのです。

これは日本の文化でいえばまさに「歌舞伎」の世界ではないでしょう。「歌舞伎」の語源は、頭を傾ける「傾く(かぶく)」が変じたといわれています。その独特の所作であるが故、そもそもは常識はずれ、異様な様を指していたようですが、やがて 風体や動きが華美である。あるいは色めいていることをさすようになりました。やがて天正時代の頃には、そういう振る舞いをするもののことを「かぶき者」というようになり、時代の美意識を表す俗語になっていったとされています。

左右に独立したグラスルーフは前後別々にシェードを開閉することができます。ただでさえ、クルマというより小さな飛行機にでも乗っているかのような感覚になる室内の雰囲気に加え、採光すれば「DSモノグラム」で室内をいっぱいにします。心躍りほかのどんなクルマでもなくシトロエンに乗っている、そういう感覚を覚える35台だけの限定、特別なDS5はすでに今までのシトロエンともすでに違っている世界を楽しませてくれました。

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間違いなく「歌舞いたクルマ」である1台、485万円というプライスは、最新のフランスをクルマに盛り込んだ「かぶき者」。

これをバーゲンといわずして何をいうのでしょう。個人的にはベースのDS5も400万円クラスでは「選ぶ理由の明確な輸入車」だと思いましたが、フォーブールアディクトはそれを上回る「これしかない」世界が表現されていたように感じます。

[ライター・カメラ/中込健太郎]

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