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ドイツ現地レポ

更新2023.11.22

ヨーロッパの街並みと溶け込むタクシー。不思議なクライスラー300

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中込 健太郎

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日本で最も早くから商売をはじめ、自動車大国日本で国産車が生産されるよりも早くから自動車を作っていたフォードが日本市場から撤退したのも記憶に新しいですが、先日寂しいニュースが入ってきましたね。クライスラーブランドの日本撤退。もっとも、今のメインはジープブランドだったりしてそちらは継続販売。




現在販売されているクライスラーも「300」という伝統の名を冠したセダンのみ。台数も出ないからやや価格帯も高価。実は今年のJAIAでもスポーティーな300Sに試乗する機会がありましたが、とても懐かしく、おおらかな気持ちにさせるいいクルマなのですが、その雰囲気の中にはどこか刹那的、風前の灯火。最後の輝きのようなさみしさを感じないではいられなかったのです。

仕方ないのだろうな、というのが率直な意見です……でもアメリカ車らしいV8ではなくV6ではありますが、360ccの大ぶりなエンジンでアクセルを踏むと、その分自然に空気を吸い込んで存分にシリンダーの中で燃焼が前に進む力になっている。そんな旧式ながら自動車らしい雄々しさを現在味わうことのできる数少ないクルマで、うれしくて、なんだか目頭が熱くなるようなきらめきを感じる、そんなクルマだったのです。もし機会があればもう一度試乗してみようかしら。そんな気持ちでいるのです。



ドイツからのレポートにクライスラー300のタクシーの写真を見つけたのはそんな時の事。ヨーロッパでも走っているのですね。ドイツのタクシーの色。アメリカ車のフォルムがしっかりヨーロッパの風景に溶け込んでいますね。ヨーロッパではランチアの販売網と一本化されつつあるようです。ただランチアは右ハンドル車を作りません。イギリスなどではクライスラーブランドで右ハンドル仕様を販売していると聞いたことがあります。

話はそれますが、ですので一時日本で販売されていた右ハンドル仕様のイプシロン「クライスラーで無ければなあ」とかいう意見がよく聞かれましたが、あれはクライスラーイプシロンであるべきなのです。右ハンドルなのに全部エンブレムをランチアに交換している人も散見しました。しかし個人的にはそちらの方に残念な気持ちを覚えたものです。むしろ僕ならヨーロッパクライスラーと言えばシムカ。日本のイプシロンはツインエアの90ccですから排気量も近いので「SIMCA1000」なんていうエンブレムを取り寄せて貼ったら楽しいだろうな、なんて思っていたものです。



しかしここで疑問が生じます。「ヨーロッパには左ハンドルのクライスラーもあるのね」というものでした。ランチアではテーマで販売されています。もしかして、この前後のバンパーを無理やり色違いのモノにしているのは、ランチアテーマをクライスラー顔にするために変えたのかしら。そしてヨーロッパ信奉の傾向が強い日本では、だとすればなかなかない交換だよなあ、と。また、数あるクルマのなかでこのクルマをタクシーに選んだ理由、興味がわきますよね。

これ、もとをただせばLXプラットフォームを流用。ダイムラークライスラー時代は足回りの部品の一部がW210シリーズのモノと共用のモノもあったそうだが、それもかなり少なくなった様子。しかし、そんな先代からの流れの中ではドイツ車に近しいクルマだったのもまた事実。こんなタクシーにドイツで乗ってこそ、国や地域に属さない「世界市民主義(コスモポリタン)」な感覚を日本にどっぷりの筆者でも味わえるかも。そんな風に感じたものでした。そして「SRT8」のバッジ??6.4ℓのHEMIエンジン載せた名車、ホントに??興味は尽きないケルンナンバーのタクシー写真でありました。

[ライター/中込健太郎 画像/ドイツ駐在員]

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