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カーゼニ

更新2017.01.30

2015年式アウディA4の「認定中古車が月々1万ウン千円」は支払い可能なプランなのか?

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伊達軍曹

90万円ぐらいのNAロードスター、あるいは100万円ちょいぐらいのルノー カングーやらアルファロメオGTVなどのド中古車ばかりを乗り継ぎ、ド中古であってもまんざらでもないアイム・ヴェリー・ハッピーな暮らしをしている不肖筆者である。だが決してビカビカ系の欧州車に興味がないわけではない。高いので買えないだけだ。

が、雑誌などの取材で各正規ディーラーの認定中古車センターへ行くと、物件の窓んとこに置かれてるプライスボードに書かれた「お支払い例」を見て悶絶失神昏倒することも多い。それによれば、一例だが先代アウディA4のド末期モデル、走行わずか0.4万kmみたいなやつが毎月1万ウン千円とかいう支払額。「こ、これならワシでもイケるやんけ!」と、なぜかエセ関西弁で叫んでしまうのである。

「認定中古車が月々1万ウン千円」というのは本当か?


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しかし当然だがその支払い例にはカラクリというか、それなりの理由はある。でないと、ビカビカ系のアウディA4を月々1万ウン千円ぐらいで買えるはずがないのだ。

もうおわかりのことと思うが、ビカビカ系のA4が毎月1万ウン千円程度で買えてしまうように見えるのは、

1. それなりの頭金が入ってるから
2. ボーナス月に結構な加算がカマされてるから
3. 通常ローンではなく残価設定ローンだから

という3つの理由による。以下、具体的な支払い例をイメージしてみよう。取材に基づくものではあるが、あくまでも仮の車名と仮の数字である。

【2015年式アウディA4 2.0 TFSI ダイナミックライン】
車両本体価格:428万円
車検:2019年4月
走行距離:0.4万km
ボディ色:グレイシアホワイトメタリック

頭金:1,070,000円
ローン元金:3,210,000円
支払回数:60回
実質年率:1.99%
初回支払額:20,015円
月々支払額:17,600円
ボーナス月加算額:158,000円
最終回支払額:790,000円

もちろん個体によって価格はいろいろなわけだが、先代A4の末期認定中古車のプライスボードにはだいたいこんな感じで書かれていることが多い。これは本当の本当に支払い可能なプランなのか? そうでもないのか? いちいち検証してみたい不肖筆者だ。
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エリート会社員なら「ボーナス月加算」も恐れるに足らず


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まず最初に「ところで諸費用はどこ?」という素朴な疑問を軽くスルーしたうえで「頭金」について考ることにしよう。

107万円という頭金。……これについては「ま、なんとかなるべえ」と判断して良いのではないかと思う。筆者の場合で言えば、現在乗ってるNAロードスターを売り飛ばすとして(や、売り飛ばしませんけどね)、昨今はNAの相場が高騰しているのでそれなりの値段は付くはず。いくらになるかは知らんが、ゼロということはあるまい。その売却益に加えて、家中のブタさん貯金箱を破壊し尽くした結果の金額を足せば、まぁ107万円ぐらいにはなるんじゃねえの? という緻密な計算である。これは良し、と。

しかし問題となるのが、この例で言う15万8000円の「ボーナス月加算額」である。

筆者はボーナスのボの字もない零細自営業者であるため、これについてはハナから対象外なのだが、自分の個人的な例でばかり考えていても仕方ないので、客観的にっつーか俯瞰して考えようではないか。まずわたしが「エリート会社員」だった場合だ。

例えばわたしは東京都在住の会社員、伊達軍造(44)。勤め先は昭和シェル石油。もちろん町のガソリンスタンドで給油しているわけではなく、いわゆる石油元売りの本社勤務である。四季報によれば平均年収は935万円(44.5歳)で、推定ボーナスは年間で240万円ぐらいなので、春夏のボーナスは各120万円ぐらい。……まあこのぐらいあれば15万8000円のボーナス月加算など屁でもないだろう。ていうかSローンじゃなくてキャッシュで買えよ、という感じか。

ただ、いかな大企業とはいえ、社会構造の変化により30年後には昭和シェルも大没落し、大倒産している可能性はある。しかし向こう5年程度の短いスパンで考えれば、それはたぶんない。よってこの場合は「楽勝」となる。ていうかキャッシュで買うわ、と。

「ビミョーな会社員」にはややツラい局面も?


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お次はわたしが「まあまあの会社員」だった場合だ。例えばわたくしが防災設備でおなじみのホーチキ株式会社に勤務する伊達訓三(40)であれば、これまた四季報によれば平均年収は712万円(39.8歳)で、推定ボーナスは年間180万円ぐらい。つーことは春夏各90万円ぐらいなので、「まあまあ楽勝」の部類には入るはず。昭和シェル勤めよりはちょっとだけキツいかもしれないが、ま、良しである。

問題はわたしが「ビミョーな会社員」だった場合だ。このあたりになると実在の社名を出すとそれこそビミョーになりそうなので、仮名でいく。

わたくしは、株式会社ジョイフル松田に勤務する伊達群草(40)。我がジョイフル松田は自慢じゃないが東証一部上場企業だが、平均年収は自慢じゃないが443万円(33.4歳)だ。わたくし自身の年収は……まぁ500万円ぐらいと思っていただければ当たらずといえども遠からずで、この冬のボーナスは「安くもなく、かといって高くもなく」というぐらいの開示でどうかご勘弁願いたい。

で、そこから、半年前に購入したアウディA4認定中古車のボーナス月加算額15万8000円、つーか毎月の支払額も合わせて17万5600万円を支出するのは、ハッキリ言って楽勝ではない。小学3年生の息子のサッカー教室月謝とか塾の月謝とか、その他モロモロもあるしね。しかしアレだ、このご時世、非正規で働いてらっしゃる人とか、フリーライターとか称してカレントライフだかなんだかに駄文を書いて暮らしてる馬鹿に比べれば、自分は恵まれてるほうだと思うんで、まぁ精一杯がんばりますよ、わっはっはっはっは……はぁ。

……この「例」を通じて、不肖筆者はビミョーな企業にお勤めの人々をクサしたり嗤いたいわけではない。そうではない。ただ、そういったビミョーな経済状況、つまり貧乏っつーわけじゃぜんぜんないけど、かといってぜんぜん裕福でもない人が、わざわざアウディの認定中古車を買うこともないんじゃねえの? 100万円とか、せいぜい200万円以内ぐらいの予算感でフツーの中古車買ったほうが、結果としてはシアワセなんじゃないですかね? と思うのである。

まぁこのあたりの考え方は人それぞれなので、他人様の価値観やら金の使いみちにわざわざケチを付けるつもりはない。が、会社員ではないが同じ「ビミョーな人」として、「俺なら買わないけどな……」と思うのみである。
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「最終回支払額」は(たぶん)ノープロブレム


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では最後に「最終回支払額:79万円」について検討して終わりにしよう。

えーと60回払いということは5年後ですか。5年後、つまり東京オリンピックも終わった2022年に、2015年式の先代、もしかしたら先々代になってるアウディA4 2.0 TFSIを79万円で買い取ってくれる業者があるか……というのはなんとも言えん問題ですな。ただ、今から5年前の2012年式A4 2.0 TFSIが現時点で売価180万~200万円ぐらいなので、まぁ「79万円」はイケるんじゃないかな。わかりませんが。

ということで以上のとおり、あなたがもしも「エリート会社員」または「まあまあの会社員」であるならば、もしくはそれに準ずるような各種状況の自営業者であるならば、認定中古車のプライスボードに書かれている支払いプランを鵜呑みにして購入しても何ら問題はないと考えられる。ぜひ、お好きな方はガンガン購入してください。

しかし、不肖筆者を含む世の中の推定7割を占める「ビミョーな人々」におかれては、アレを鵜呑みにするのはちょっとどうかと思う次第である。シミュレーションのなかで完全にスルーされてる「諸費用」もありますしね。

押忍。

[ライター/伊達軍曹]

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