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ドイツ現地レポ

更新2022.09.08

ドイツ在住ライターが思う「日本人とドイツ人のクルマ好きで決定的に異なる4つのポイント」とは?

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守屋 健

「クルマが好きな人たちの、クルマが好きという気持ちは万国共通!」



国際的なクルマのイベントを見ると、この言葉に間違いはないように思えます。大規模なモーターショー、F1やWRC、ル・マン24時間レースなどの国際レース、貴重なクラシックカーが集うコンクール・デレガンスなど、それらに共通するのはクルマに対しての熱い思いと愛情です。


一方で、ドイツで生活していると、日本のクルマ好きとは決定的に異なるポイントがいくつかあると感じます。今回のドイツ現地レポは、その相違点に注目。ぜひ最後までお付き合いください!


■多岐にわたる自動車趣味、特に違いは感じない?



まずは、一言で「クルマ好き」といっても、多種多様に枝分かれしているということについて触れておかなければなりません。これを読んでいる読者の方は、多かれ少なかれ「クルマ好き」だと思いますが、具体的にはどんな趣向をお持ちでしょうか。


新車をチェックするのが好き。クラシックカーが好き。レースを観戦するのが好き。レースに参加するのが好き。クルマの写真を撮るのが好き。クルマをカスタマイズするのが好き。クルマの模型やグッズを集めるのが好き。クルマの模型を作るのが好き。クルマをレストアしたり、エンジンを組み立てたりするのが好き……挙げていけばキリがありません。


ドイツのクルマ好きも、これらの趣向を持っている人たちはいます。そして、クルマに対する「愛で方」もほぼ共通している。もっと断定的にいい切ってしまえば、クルマ好きと彼らが示す趣向に、日本とドイツとの違いはほとんどありません――ただし「表面上は」。


「表面上は」? そう、一見共通しているように見える趣味・趣向も、実はそれを支えている考え方や文化には大きな違いは確実に存在します。次の項で触れていきましょう。


■1.クラシックカーは「お金持ちの趣味」?



全部で4つ、決定的な違いがあります。


1つめは「クラシックカーを趣味とする場合の、参入障壁がとにかく低い」です。


日本で古いクルマを買って自分で乗ろうとする場合、資金面や部品調達の面で苦労することが多いのではないでしょうか。もし配偶者の方や子どもがいた場合、新たにクラシックカー趣味を始めようとするのは、非常に困難な「説得」も伴うのが常ではないかと思います。一言でいい切ってしまえば「お金のかかる趣味」の域を出ません。


ところがドイツでクラシックカー趣味を始めようとしたとき、多くの人々は「ケーファーを買って、そこから始めればいいよ」と勧めてきます。ケーファーとはドイツ語でカブトムシのこと。つまり、フォルクスワーゲン・タイプ1から入門すれば間違いないと彼らはいっているのです。


ケーファーであれば、ベースの車両(状態が悪くても、まだなんとか走れるレベル)は3千ユーロ(約42万円)も出せばなんとか購入できますし、部品は純正部品・サードパーティ製問わずいくらでもインターネットで買えます。無数にあるクラシックカークラブ、その中から地元に近い場所に加入すれば、誰かは必ずケーファーを所有していますから、クラブの人たちにいろいろと助けてもらうこともできます。彼らのほとんどは、純正マニュアル片手にエンジンを一から組み立てるような猛者たちです。


ドイツにおいてドイツ製の古いクルマを趣味で楽しむ場合、ケーファーに限らず、日本と比べると資金面・部品調達・その後の人とのつながりも含めて「参入障壁がとにかく低い」と感じます。日本において日本製の古いクルマを趣味とする場合、ここまでカジュアルには始められない、というのが現実ではないでしょうか。


■2.「伝統の継承」を重視するドイツメーカーの存在



2つめは「自動車メーカーの考え方が根本的に異なる」です。


上記で解説した点にも通じる話なのですが、ドイツの各メーカーは、自分たちが製造してきたクルマに対しての誇りと敬意の気持ちが非常に強く、アイデンティティの継承を重視しています。フォルクスワーゲンの大規模複合施設「アオトシュタット」や、シュツットガルトにある「ポルシェ博物館」「メルセデス・ベンツ博物館」、ミュンヘンの「BMW博物館」などはその象徴ですね。


ポルシェやメルセデス・ベンツ、BMWなどは自社に「クラシック部門」が存在していますし、クラシック部門が主導で開発した製品もいくつもリリースされています。ポルシェを例に挙げれば、クラシックカー専門のオイルをリリースしたり、ナロー系の911のダッシュボードにすっきりと収まるナビゲーションシステムを発表したりと、古いクルマを現代の路上で楽しむための製品を多数開発しています。また、クラシックカーの純正部品供給も積極的に行っています。



メーカーの本音としては、もちろん新しいクルマを売りたいのですが、それと同じくらいデザイン面でも走りの面でも「伝統が継承されていること」が重視されます。読者の方も、多くの新車発表の場面で、過去のクルマと並んで紹介されているのを目にしたことがあるのではないでしょうか。


またこうしたメーカー側の姿勢が、クルマに興味がない一般層にもふんわりと影響を与えています。筆者が驚いたのが、ベルリンのショッピングの中心地・クーダムでクラシックカーイベントが行われたときのことです。クルマ好きだけではなく、多くの一般の人々が「美しいものを見て楽しむ」イベントとして、古いクルマに対して非常に好意的な空気感が醸成されていて、日本との大きな隔たりを感じました。


■3.ドイツ人は「ルールの作り方」がうまい?



3つめは「ドイツの人々は仕組み作りがうまい」です。


これは根本的な文化の違いになってしまうのですが、何かを運営しようとするときに、その外枠を決めたり、ルールを決めたり、仕組みを作ったりするのが非常に上手なのがドイツ人です。


例えば、有名な「Hナンバー制度」。オリジナル状態をよく残している製造から30年経過したクルマを歴史的工業遺産として認定・付与されるナンバープレートで、自動車税が割引になる制度です。古いクルマを通年乗る人は少ないため、自己申告した期間しか乗ることができない(例えば3月から10月)、しかし税金はさらに割引になる「シーズンHナンバー」が近年導入されました。重税に苦しむ日本のクルマ好きからすると、とてもうらやましい制度ではないでしょうか。


クラシックカークラブの運営方法も、外枠だけしっかり決めてあとは何をしても自由、いつ参加しても脱退してもOKで後腐れなし、というのがこちらの流儀。自分が心地よいと感じられなければ、すぐに別のクラブに移る(他のクラブも数多く存在する、という前提もありますが)という姿勢は、終身雇用という概念が存在しないドイツの雇用スタイルと共通しています。何かの組織に所属する際「滅私の姿勢」を求められることがないドイツではこれが当たり前ですが、とかく「我慢・忍耐」を求められる日本とは、文化面で大きな違いを感じる部分かもしれません。


もうひとつ。ベルリンでは、古いバスを保存・レストアするクラブがあります。もともと小規模のプライベートなクラブで、彼らは使われなくなったバスを直して楽しんでいたのですが、BVG(ベルリン市交通局)と協力して、観光地までの定期路線としてクラシックバスを再び走らせるようになったのです。こうした官民それぞれの活動の柔軟さも「ドイツは仕組み作りがうまいなあ」と感じる部分なのですが、みなさんはどう感じますか?


■4.ドイツには存在しない「ヤンキー文化」と「デコトラ文化」



4つめは「ヤンキー系・オラオラ系のカスタム文化は存在しない」です。


これは言葉通りの意味ですね。アニメのキャラクターなどをクルマに大きく描く、いわゆる「痛車」文化はごく少数存在するのですが、例えばハイエースに巨大なウイングを付けたり、派手なカスタムペイントをしたり、極端に車高を落としてタイヤにネガティブキャンバーを付けたり、巨大なウーファーやディスプレイを仕込んだり、といったようなデコレーションやカスタマイズの文化は、まったくといっていいほどドイツには存在しません。極端に太いステアリング、室内に長い毛の絨毯、主張の激しいシフトノブしかり、です。強いていえば、古いアメリカ車をベースにした「ホットロッド文化」はわずかに見られるくらいでしょうか。


そもそもドイツは改造に対する考え方が厳しく、派手な見た目のカスタムカーは敬遠される傾向があります。またカスタマイズといっても、性能向上を目的としたレーシーなものだったり、内装をフルレザー化したりと、地味でシンプルなものがほとんどですね。ちなみにドイツには、いわゆる「デコトラ文化」も存在しません。


■まとめ:文化の違いが、裏側から表面に影響を及ぼす?


ここまで、筆者が考える日本人とドイツ人のクルマ好きで決定的に異なるポイントを4つ挙げてきました。最初に触れたように、ドイツのクルマ好きと日本のクルマ好きには共通していると感じる部分の方が圧倒的に多いですし、イベントで参加者の人たちと話をしてみても「やっぱりみんなクルマが好きなんだな、クルマを好きな気持ちはどこでも変わらないな」と感じます。


しかし裏側を覗いてみると、そもそもの文化の違い、自動車メーカーの姿勢、政府の姿勢の違いが、少しずつ表面にも影響を与えているということがこの記事で伝わったのではないでしょうか。比較して特に感じる、日本の旧車ファンに対しての「冷遇」は、今後なんとかしてほしいと願うポイントではありますね。それではまた、次回のドイツ現地レポでお会いしましょう!


[ライター/守屋健]

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