アイキャッチ画像
ドイツ現地レポ

更新2021.05.27

その数、なんと約70万台!キャンピングトレーラーがドイツで人気な3つの理由

ライター画像

守屋 健

2020年12月からロックダウンが続くドイツですが、最近ようやく新規感染者数が減少傾向になり、6月半ばにかけて順次外出制限が解除される見込みになってきました。今年の4〜5月は例年に比べ気温が低く、普段なら春のバーベキューなどを楽しめるはずが長らく「おあずけ」状態となっているため、現地の人々の「野外で遊びたい!」という欲求は限界まで高まっているといえるでしょう。



ドイツにおいて春から夏にかけて公道で数多く見かけるようになるのが、キャンピングカーとキャンピングトレーラーです。特にキャンピングトレーラーは、日本とは比較にならない数を見かけます。今回のドイツ現地レポは、このキャンピングトレーラーに注目。なぜこんなにもドイツで人気なのか、日本と比べてどのような事情の違いがあるのかを紹介していきたいと思います。


■ドイツでの総数、なんと120万台以上



新型コロナのパンデミック以降、キャンピングカー・キャンピングトレーラーの需要は増加し続けており、新車・中古車販売ともに好調なセールスを記録しています。ドイツ国内のキャンピングトレーラーは2020年末で69万8,596台登録されており、これは前年比で3.5パーセント増加しています。


ちなみに、年度は異なりますが2019年初めのキャンピングカーの登録台数は53万2,687台で、合計しておよそ120万台以上のキャンピングカー・キャンピングトレーラーがドイツ国内に存在することになります。


■ドイツでキャンピングカーよりキャンピングトレーラーの方が普及している理由とは?


上のデータでもわかるとおり、ドイツではキャンピングカーよりキャンピングトレーラーの方が普及しています。その理由をまとめてみましょう。


・旅先での自由度が高い
・小型車でもけん引が可能
・キャンピングカーに比べて、車両代とランニングコストが安い


まず最初の「旅先での自由度が高い」について。キャンピングトレーラーが宿泊予定地に着いたら、トレーラーをその場で切り離して、クルマだけで移動が可能です。どうしても車体が大型化してしまう自走式キャンピングカーに比べると、その身軽さは大きなメリットと言えるでしょう。


ふたつめの「小型車でもけん引が可能」という点についてです。けん引するクルマには「ヒッチメンバー」というパーツを取り付けるのですが、ドイツではあらゆる車種にヒッチメンバーが純正オプションとして用意されています。超小型車のスマート・フォーツーにすらヒッチメンバーが純正オプションとして用意されているので、スマートがトレーラーを引く姿も決して珍しくはありません。


三つめの「キャンピングカーに比べて、車両代とランニングコストが安い」についてですが、これはわかりやすいですね。キャンピングトレーラーにはエンジンがないので、税金や保険も安く抑えられます。構造がシンプルなのでスペース効率にも優れ、かつ車両価格も安価なのがメリットです。


■キャンピングトレーラーがドイツで人気な3つの理由とは?



それにしても、どうしてここまでドイツではキャンピングトレーラーが受け入れられたのでしょうか? バックや車庫入れが難しいなどのデメリットがありつつも、ドイツで普及した理由は以下が考えられます。


1.国土が日本と比べて平坦で、駐車スペースに余裕がある
2.そもそも高速道路が無料なので、けん引しても「追加の通行料金」を取られることがない
3.普通免許とけん引免許の間に「普通車拡張免許」が存在する


ひとつめの「国土が日本と比べて平坦で、駐車スペースに余裕がある」という点について。ドイツの郊外であれば日本よりも路上駐車は簡単で、キャンピングトレーラーが停められるような駐車スペースも数多く存在します。また、日本とは違い「車庫証明」という制度自体が存在しないため、自宅近くにトレーラーを停めておく場所もよほどの都市部でない限り見つけやすく、駐車場代もかからないか低額で済む場合がほとんどです。


ドイツの高速道路、つまりアウトバーンが無料であることはよく知られていますが、キャンピングトレーラーをけん引した場合でももちろん無料です。ただし、最高速度は80km/hないし100km/hに制限されます。


日本とのもっとも大きな違いと言えるのが、3つめの「普通車拡張免許」の存在でしょう。ドイツは日本と同じく、総重量750kgまでのトレーラーは普通免許で運転可能です。そして750kgを超える場合、けん引免許が必要となるのも同様なのですが、ドイツでは例外としてB96と呼ばれる「普通車拡張免許」が用意されています。


これは、総重量750kg以上のトレーラーを引いていても、けん引するクルマとの総重量が4,250kgに収まっていれば運転OK、というもので、教習所で座学と実技の講習を受ければ試験なしで取得できます。費用は教習所によっても異なりますが、300〜600ユーロ(約3万9,600円〜7万9,200円)の範囲で設定されていることが多いです。


■キャンピングトレーラーは夏の休暇の主役



このB96という免許は、少し豪華なキャンピングトレーラーで遊びに行きたいという層に広く受け入れられました。また取得に試験が不要ということもあり、夏の行楽シーズン前に取りに行くドライバーも多いのだとか。


キャンピングトレーラーはキャンピングカーに比べると値段も安く、中古車販売サイトや個人売買サイトでも春先は非常に活発に取引されます。また構造も単純なので、安く購入して自分好みにリノベーションを行うのことも珍しくありません。


日本ではまだまだマイナーな存在のキャンピングトレーラーですが、ドイツではこれからも夏の行楽の主役であり続けることでしょう。コロナのパンデミックが収束すれば、再び行楽に出かけるキャンピングトレーラーがアウトバーンに溢れるはずです。そんな日が早く訪れますように!


[ライター/守屋健]