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コラム

更新2020.08.20

21世紀にも通用するバブルカー。BMWイセッタは小型で小粋な駆けぬける歓び

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松村 透

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2016年1月にお台場で開催された「2016 ニューイヤーミーティング」の会場には、国内外のさまざま「旧車」とそのオーナーや仲間たちが談笑していました。

筆者はその模様を(羨ましいと思いつつ)取材していたわけですが、会場内になんともキュートなクルマが展示されていたのです。それがBMWイセッタでした。


BMWイセッタといえば、3輪車のフォルムが特徴的な、乗用車よりもさらに小型な「バブルカー」と呼ばれるクルマです。日本では趣味車のような位置付けですが、大人が2人乗れてしかも安価で…という、ヨーロッパにおいては生活の足のような存在だったのです。バブルカーとは比べものにならないくらい快適で豪華で荷物もたくさん積める、現代の軽自動車のようなものでしょうか。

このBMWイセッタ。そのルーツはイタリア・ミラノで誕生したISOイセッタにあります。そうなのです。イセッタの発祥のルーツはイタリアにあるのです。



このISOイセッタは1954年から1958年に掛けて生産されました。当時経営難に陥っていたBMW社がライセンス契約という形で1955年から自社の生産ライン、つまりドイツ・ミュンヘンで製造を開始することになりました。

ISOイセッタに搭載されていた、最高出力12ps、排気量わずか236ccの2ストローク単気筒エンジンには耐久性に問題があり、そこでBMWは自社のバイク用4ストローク単気筒エンジンに置き換え「BMWイセッタ」として販売。後に最高出力13ps、300ccへと排気量をアップしています。サスペンションは、フロントがスウィングアームコイル、リアがリーフスプリングとなっていました。その後、582ccのエンジンを搭載した4輪車のBMW600を発売。その結果、1955年から1962年までのあいだに16万台以上が生産されるほどのモデルとなりました。

イセッタはBMW(ドイツ)だけでなく、フランスやベルギーなどの欧州各国など、ライセンス生産という方式を採用し、さまざまな国で生産されてきました。

 

BMWイセッタの特徴のひとつに「乗降はフロントから」というのが挙げられます。ドアの内張に装着されたステアリングごと開閉する仕組み。アクセル、ブレーキ、クラッチペダルは、まるできのこのようにフロアから「生えている」ので、慣れるまで乗降にはコツがいるかもしれません。

室内は大人2人掛けが可能なベンチシート。その背後に荷物を置くスペースがあります。最高速度は、300ccエンジン仕様で85km/hですから、4速MTをフルに活用しても、流れの速い現代の道路では少し大変かもしれません。

イセッタは、21世紀になっても思わぬ形で人々を魅了することになりました。マイクロ・モビリティ・システムズ社(スイス)が、イセッタをベースに電気自動車として新たな命を吹き込んだのです!



同社は2016年に開催された第86回ジュネーブ・モーターショーにおいて500台の予約注文を行ったところ、あっという間に予約リストが埋まったようです。

半世紀以上前に造られたパッケージが、電気自動車という新たなジャンルでも通用することを、当時のオーナーたちは夢にも思わなかったことでしょう。

もしかしたら、ボディサイズやパワーなど、大きくなったクルマは、そろそろ原点に立ち返るする時期に差し掛かっているのかもしれません。

[ライター/江上 透]

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