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更新2017.09.06

クルマ好きの思いが詰まったジオラマや名車たち。関西オートモデラーの集いを訪れて

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鈴木 修一郎

数年前から出戻りモデラーをしている筆者ですが、近年はSNSの普及で他のモデラーの方と交流を持つ機会も増え、筆者も拙作ながら5年ほど前より展示会にも参加するようになりました。

誰でも気軽に参加できる「オートモデラーの集い」


中でも「オートモデラーの集い」は展示と交流が目的の展示会であり、あえてコンテストで優劣を決めるという事は無く、参加も開催時間内であれば事前申し込み不要で持ち込みが出来るという気軽さで、初心者からベテラン、はてはプロモデラーまで幅広い参加者がいるのが特徴です。

聞くところによると、長年カーモデルに限らずプラモデルの市場自体が縮小の一途だったのが、4~5年ほど前よりミリタリー物のソーシャルゲームやアニメの影響で軍艦や戦車等のミリタリーモデルの販売がV字回復をした波及効果がカーモデルにも現れ、また最近はクルマにアニメやゲームのキャラクターのラッピング装飾を施した「痛車ブーム」の影響もあり、オートモデラーの集いもここ数年は展示スペースが足らなくなるほどの盛況ぶりだそうです。筆者は年末に地元で開催されるオートモデラーの集いin名古屋にのみ参加していましたが、広島の友人が関西オートモデラーの集いに参加するというので筆者も参加する事にしました。


▲会場はカスタムドールで有名な大阪日本橋にある「ボークス」の大阪ショールーム8階のイベントスペース

実は、模型展示の遠征は今回が初めてで大阪に行くのも4年ぶりです。フルオリジナル準拠でレストアしつつもエアコンやラジエターの強化でモダナイズしたセリカLBはクラシックカーながらまだ暑さの厳しい晩夏のロングドライブも快適にこなしてくれました。

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大阪の「オートモデラーの集い」は大盛況




筆者が到着した頃には開場から1時間弱でしたがすでに会場はこの通り。展示卓には腕自慢の作品が所狭しと展示され、互いの作品を真剣に見入っています。



まず真っ先に筆者の目を引いたのがリンドバーグ製の「オーバーンスピードスター」流石はアメリカのプラモデルメーカーとあって、クラシックカーのラインナップが充実しています。



「そうそう、昔そんなのがあったっけ」と懐かしくなったN1耐久の「のりピーシビック」ファッション業界や芸能人がモータスポーツ関連に積極的に関わっていたのも今は昔の話です。


▲アオシマ製1/24ランボルギーニカウンタック5000QV

キング・オブ・スーパーカー「カウンタック」このドアを見て心ときめかずにはいられないカレントライフ読者の方も多い事でしょう。プラモデルの世界でもカウンタックは王者の風格を放っています。

「マルニ」たちが勢ぞろい












今回の展示会では、ちょうど6月末にハセガワから1/24BMW2002tiiが発売され「マルニ」がちょっとしたトピックになったこともあり、当然ながらこのイベントに合わせて製作されたと思しき「マルニ」がそこかしこに展示されていました。筆者も今、製作中のキットが完成したら「マルニ」の製作にかかろうと思っているので、参考になります。

ところで、BMWのオールドタイマーが好きな読者の皆様の中には「マルニといえばターボはどうなってるの?」と思われた方もいるのではないでしょうか?

実は、つい最近ハセガワの新製品情報にて正式に「BMW2002ターボ」が11月3日に発売されるというアナウンスがありました。「マルニターボに改造する人がいない」というのは皆さん「おそらく今後のバリエーション展開でターボが出るであろう」と薄々わかっていたというのもあるのでしょう。(http://www.hasegawa-model.co.jp/product/hc24/)

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あこがれのガレージライフな名車たち



▲レベル製ポンティアックファイアバードトランザム

1976年生まれの筆者にとっておぼろげながら記憶に残っている「イーグルマスク」の2世代目ファイアバードトランザム。筆者の幼少期の日本ではまだまだ「ガイシャ」と言えばアメリカ車だったのですが、スーパーカーブームが沈静化した後の世代の筆者にとってはむしろランボルギーニやフェラーリよりもトランザムの方が馴染みが深かったように思います。



シルバーストーンサーキットでのミニのタイヤ交換作業を再現したというジオラマ。筆者もそろそろ本格的にジオラマ製作に挑戦しようと思い、いくつかシチュエーションの候補は考えている所です。




▲タミヤ製1/24ロータススーパー7シリーズ2

カレントライフの読者の皆様にとってあこがれのガレージライフはこんな感じでは無いでしょうか。写真ではわかりにくいですが、エンジンルームに内装とアルミの地金むき出しのボンネットの再現が秀逸な作品でした。


▲レベル製1/25VWタイプⅠカブリオレのキャンピングカー

トレーラーハウスのキャンピングカーはフルスクラッチのようです。




▲ホンダライフステップバン360改

プラモデルの醍醐味の一つに「常識にとらわれず自由に改造できる」というのがあります。筆者の広島の友人の作品、本業は鉄工所を営んでる方ですが、実車でも「クルマを買ったらとりあえずイジらないことには気が済まない」という方で、マフラーやロールケージ等を自作し、職場兼住居の自宅でエンジンの脱着、分解組み立てもこなすプライベートチューナーだけあって、当然プラモデルもエンジン載せ替えの公認もこなすプライベーターの友人にかかればこの通り、マクラーレンのF1とカンナムマシンにステップバンのサンコイチマシン(!)

プラモデルなら幻のレーシングマシンも再現できる



▲童友社製230型セドリック2ドアHT

その昔、日本でもアメリカのストックカーレースにセドリック・グロリアやクラウン等の国産フルサイズモデルによるストックカーレースが開催されていた……という日本のモータースポーツ史を知る方も今やそれほど多くはないことでしょう。かくいう筆者もクラシックカー雑誌で読んだ程度の知識しかありません。

この時代の国産レーシングマシンはワークスマシンですら現存車は数少なく、ストックカーレース仕様の国産レーシングマシンに至っては写真でしかその雄姿を見ることは叶わない中、こうして当時に思いを馳せながら幻のレーシングマシンを考察し再現するというのは大変でもありロマンのある作業だったと思います。




▲会場内で一際異彩を放っていた大物作品ATF160G-5(160tクレーン車)

完全自作のフルスクラッチで、ドア、アウトリガー、ブーム、可動部分のギミックは全て動くように再現、クレーンに至っては実際にモーターでワイヤーを昇降できるようになっていて、実演の際は黒山の人だかりができていました。

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筆者の個人的趣味セレクション



▲もう見ただけで思い出し笑いが止まらないMr.ビーン仕様のミニ

よく見ると、スプレー塗料やエアブラシではなく筆塗りで塗装しているようであえて仕上げが粗いというところに「わかってらっしゃる」という趣を感じます。




▲ゴリラ警視庁捜査第8班のスタリオンとご存知西部警察のスーパーZのS130型フェアレディZ

つい先日惜しまれつつ小樽の石原裕次郎記念館が閉館してしまいましたが、西部警察を始めとする石原プロの刑事ドラマの劇用車はカーモデルの世界では不滅の人気を誇っています。


▲筆者の琴線にピンポイントで突き刺さった昭和45年型ハコスカバンのTBSラジオレポートカー

実は筆者も挫折したのですがフジミのハコスカ4ドアでバンデラックスを再現しようとしたことがあります。かつて商用車には装着が義務付けられていたリアクォーターウィンドーから見える横棒が昭和を感じさせます。なにより、土曜日のお楽しみだった「大橋巨泉のクイズダービー」と「8時だョ全員集合!」でおなじみのTBSの旧ロゴがたまりません。


▲キットメーカーは失念してしまいましたがレンジローバー

ヒーローやスターのようなクルマだけが全てではありません。量販モデルの「普通のクルマ」を模型で再現する方がむしろ作り手の思い入れが反映されるようにも思えます。


▲作者によると子供の頃に作ったジャンクプラモをGTとしてレストアしたとのこと

フルオリジナル状態を保った国産クラシックカーが好きな筆者にはGT-Rよりも純正ホイールキャップにノーマルフェンダーのGTのほうが惹かれる物があります。

最近は実車のほうでもオリジナルのサーフィンラインを残したノーマルフェンダーが珍重されているとのことで、オーバーフェンダーのGT-R仕様を組むときでもフルオリジナル派だけでなくチューニング派のハコスカ好きの間でも「現時点でノーマルフェンダーが残っている車両はこれ以上フェンダーを切らずに保存し、オーバーフェンダーのGT-R仕様を組むときはオーバーフェンダー仕様に改造された既存の個体をベースにする」という暗黙の了解があるとも耳にしたことがあります。


▲タミヤ1/24日産スカイラインRS4ドア改スカイラインTI

筆者が小学生の時、亡父がスカイライン2000GT-ES(R30型後期型)を新車で購入したこともあり、4ドアのR30 スカイラインを見て小学生の頃を思い出しながら見入っていたら、よく見ると例の丸テールではなく角テール(!)なんとGTではなく4気筒の廉価グレードのTIというディープなグレードに改造されていました。作者のR30スカイラインへの惜しみない愛が伝わってくる気がします。

変わってきたカーモデルの傾向


最近のカーモデルの傾向としてレーシングカーやスポーツカー、高級車といったフラッグシップモデルだけでなく、凡庸な量販モデルや果ては商用車といった実用車をモデル化するというケースが増えているようで、2014年にはハセガワからサニートラック、アオシマからは430グロリア4ドアセダンスタンダードがモデル化されて話題となったのですが、アオシマから「1/24NCP160Vトヨタプロボックス/サクシード」がモデル化されるというアナウンスがあり、ディープなモデラーを騒がせています。こういった普通のクルマがカーモデルというホビーの対象になるというのもそれだけ日本の自動車文化が成熟してきたという事かもしれません。(http://www.aoshima-bk.co.jp/special/event/hobby_show/201709/)


▲所で、今回自分の作品を全く撮っていないということに後になって気づき、数少ない筆者の作品の写真から1枚

グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードを再現したジオラマが参加者の作品の撮影スペースとして解放されていたので筆者の試しにトヨタAB型フェートンを置いてみました。こんなのでトライアンフやロータスと走らされるドライバーの心境やいかに(苦笑)

モデラーとしてはまだまだ未熟者ですが、(もっともプロや凄腕のモデラーに人のほうこそ「今も昔も仕上がりに納得できた試しは無い」と言うらしいですが……)初心者、ベテラン関係なく他人の作品を見るというのはなにかしらインスピレーションをもたらす物で、初心者の作品と言えども初心者ゆえの既成概念にとらわれないアイディアが隠れていたりで侮れません。もしかしたら筆者の拙作もまた、見知らぬ誰かに何かインスピレーションをもたらしていたのかもしれません……

溶剤や接着剤の匂いやヤスリがけの削りカスで家族から顰蹙を買い、塗料まみれになり、時に部品をなくしたり破損したりして顔面蒼白になり、何の得にもならないのになんでこんな面倒なことしてるんだろうと自問自答しつつもいざ自分の作品が完成したり、展示会で他の人の作品を見たりしてるうちに、創作意欲が沸いて気が付いたらやっぱりまた次の作品制作に取り掛かる、なんとも不思議なホビーです。

次回は筆者の地元愛知県で11月19日オートモデラーの集いin名古屋が開催されます。聞くところによると実はオートモデラーの集いの中で最も参加者が多くハイレベルな作品が集まるのが名古屋だそうです。筆者もそれまでにまたいくつか作品を用意しておこうと思います。

[ライター・カメラ/鈴木修一郎]

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