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オーナーインタビュー

更新2023.05.02

21才のオーナーがかつて父親が所有したクルマを愛車に選んだ理由とは?1991年式アウディ90クワトロ 20V(B3型)

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松村 透

父親が若い頃に所有していたクルマと同じモデルを、成長して大人になった息子が手に入れる……。父親にとってはこの上ない喜びであると同時に、息子の側からすれば少しでも親父に近づきたいという想いがあるのかもしれません。いずれにせよ、クルマ好きの親子にとってひとつの理想形であることは確かです。


今回、お父様がかつて所有していたというアウディ90を手に入れ、現代のクルマにはない魅力を堪能しているという三上 諒人さん(21才)と、その愛車を取材してきました。


── オーナー紹介&どんな仕事をされているのですか?



▲オーナーの三上 諒人さん(21才)と、愛車である1991年式アウディ90クワトロ 20V

ある企業で働いていたのですが、半年くらい前に転職をして、現在は流通関係の仕事をしています。


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── クルマに興味を持ちはじめたのはいつ頃ですか?



▲端正な顔立ちが印象的なアウディ90。ナンバープレートカバーは当時モノという貴重な一品

2才頃からクルマに興味があったみたいです。実は、4人きょうだいでクルマが好きなのは私だけなんです。親からトミカをはじめ、たくさんのミニカーを買ってもらいました。


── これまでの愛車遍歴を教えてください



▲こちらも貴重な純正のフロアマット。アウディの旧ロゴに懐かしさを感じるお父さん世代の方も多いのでは?

最初の愛車は叔母に譲ってもらったスズキ ワゴンRスティングレイでした。それからこのアウディ90を手に入れ、その半年後に当時の職場の同期からアウディS4(2代目)を譲り受けました。その後、アウディS4から初代TTに乗り換え、現在にいたります。


いまはアウディ90とTT(初代)の2台体勢です。


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── 現在の愛車を手に入れるきっかけを教えてください



▲三上さんによると、ファーストオーナーがオーダー時にエンブレムレス仕様にしたそうで、さらにすっきりとした印象を受けます

Twitterのタイムラインにこのアウディ90が中古車として売りに出されているのを知ったことがきっかけです。


あと、私が幼い頃、父親が乗っていたメルセデス・ベンツ320TE(S124)の存在が大きいように思います。この原体験が少なからず関係しているかもしれません。



▲コアサポート部分に貼り付けられた正規輸入車の証であるヤナセのプレート

実はアウディ90はノーマークで、本来はメルセデス・ベンツ500SL(R129)かポルシェ911カレラ(993)を探していたんです。かつて父親がアウディ90に乗っていたと聞いていましたが、車名を知っているだけで詳しいことは分かりませんでしたから。


── 買うと決めたときのお父様の反応はいかがでしたか?



▲ファーストオーナーがきちんと書類を保管しており、当時のメンテナンスの記録が残されている点からも深い愛情を注いできたことが分かります

私の友人と、それから父親も同行してくれて現車確認をしたんですが、その場で即決しました。


そのときの父親の反応は「ふーん、買うんだ」と、意外なほどあっさりしたものでした。しかし、実際に手に入れて隣に乗せたときはすごく喜んでくれましたね。両親がまだ結婚する前、2人が付き合っていたときに父がアウディ90に乗っていたそうです。でも、母親の反応は割と素っ気なかったです(笑)。


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── クルマを買う際、大事にしていることがあるそうですね



▲三上さんが持参してくださった当時のCG誌やカタログ、メンテナンスノート。フジミ製のプラモデルは当時モノ。背景が黒なのが特徴なのだとか

「どんなときに乗りたいか」「乗りたくなりそうか」。そして「そのクルマの成り立ちやデザイン」「新車当時の評価、インプレッション」です。当時のカーグラフィック誌を手に入れて記事を読み込み、実際に手に入れてから自分の印象と記事に書かれていることの「答え合わせ」がとても好きですね。



▲いま見ると無骨なマフラー。タイコの付け根から1本ずつ排気するタイプ。テールエンドが斜めにカットしてある点にも注目

当時の記事を読み返してみると、デビュー時の本国でのインプレッションと、日本に届いてからでは印象が異なることもあるんですね。その違いを探したり、見つけたりする作業も楽しいです。


── 現行モデルや近年のアウディSおよびRSモデルに対するご興味は?



▲「DIFF」のスイッチが、このモデルがクワトロ(4WD)であることを実感させてくれる

新しいモデルだけに気兼ねなく乗れるという点においては気になります。


ただ、購入するとなるとこのアウディ90やTTのように、1990年代や2000年代初期のモデルに惹かれます。構成の多くはメカニカルな部分が占めていて、電子制御はABSとエンジンのマネジメントくらいなんですね。現代のクルマはさまざまな電子制御が介入する分、人間の感覚にはコミットしない印象があります。



▲リヤガラスの「quattro」はステッカーではなく熱線という凝った造り。そしてYANASEのステッカーに憧れた方も多いはず

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── アウディ90とTT、それぞれに魅力がありますよね



▲アウディ90の最上級グレードである「クワトロ 20V」は左ハンドル/MTのみ。3連メーター(電圧計/油量計/油温計)はVDO製

アウディ90はアウトバーンを高速域で巡航するためのクルマなんだと思います。ギア比も1速から2速、それと2速から3速も離れていて、街乗りやワインディングはちょっと苦手かもしれません。むしろ、TTの方が得意かもしれないですね。アウディ90は高速コーナーや首都高が得意だという印象があります。


── ファーストオーナーさんに向けてメッセージがあればぜひ!



▲ファーストオーナーがメンテナンスノートとは別に用意していたノート。几帳面な一面が垣間見えます

所有されていた頃よりはヤレてしまったかもしれませんが、きちんとオーナーに応えてくれるいいクルマですよね。手に入れて2年間で3.3万キロ走破して、1度も故障していませんし、エアコンもガンガン効きます。この記事を読んでくださり、気づいてもらえたら嬉しいです!



▲現在の走行距離は約11.8万キロ。このうち、三上さんが走破したのは3.3万キロ

当時の所有されてたコンディションと比べたらやれちゃってるかもしれないですけど「ちゃんとオーナーに応えてくれるいいクルマ乗らせてもらっています!」とお伝えしたいです。


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── 手に入れて良かった点、苦労している点は?


●良かった点


アウディ90がきっかけとなり、いろいろな方たちとのつながりができました。特に、私より年齢層が2まわり、3まわり上のおじさまたちから大好評です(笑)。


あと、女性を隣に乗せると、左ハンドルのMT車ということで興味を持ってくれます。右ハンドルなら運転席のポジションに座っているので、駐車券を取れるのが新鮮みたいです。



▲いまや貴重な「左ハンドル+MT」の組み合わせ。シート表皮には「quattro」の文字が

●苦労していること


とにかく部品がでないことですね。Yahoo!オークションもよく利用しますが、落札するのはほぼ私だけです(笑)。このクルマの型式は「E-897AF」なんですが、エンジン周りの部品は専用部品が多く、私の個体以外のクワトロ 20Vからバラしたものでないと手に入らない状況です。そのため、重要な部品はe-bayかリトアニアから入手しています。



▲搭載される水冷直列5気筒DOHC20バルブ「7A型」エンジンの排気量は2309cc。最高出力は170ps(125kW)/6000rpm、最大トルクは22.4kg・m(219.7N・m)/4500rpmを発生

── 欲しいクルマBEST3、アガリの1台を教えてください 


●欲しいクルマベスト3(予算抜き)


1. ランボルギーニ ミウラP400SV
2. RUF RGT
3. フェラーリF40


●欲しいクルマベスト3(予算あり)


1. ポルシェ911ターボ(996)
2. スープラ(A70)
3. 日産フェアレディZ(RZ34)


●アガリの1台


996型のポルシェ911ターボ(Tip)ですね。ボディカラーはシルバーで。サンルーフがあるとボディラインが変わってしまうので、サンルーフレスが理想です。996ターボのティプトロって、水冷ユニットのツインターボエンジンに4WDを組み合わせた959の量産型というイメージなんです。


簡単に手に入らないからこそ、縁があれば……と密かに願っています。


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── 三上さんにとって、愛車であるアウディ90はどんな存在ですか?



▲「パンセロメタリック」という名のボディカラーが実にマッチしている

「心の拠りどころであり、世代を問わず人と人とをつなぐ魔法のアイテム」です。



▲アウディ90の純正ホイールは4穴。車両重量は1370kg

アウディ90のことを、ずっと友だちという意味で「ズッ友」って呼んでいます。15年以上前になるんですが、ニアミスしていたかもしれないんです。このクルマを手放そうとか、乗り換えようとは思わないし、思えないですね。


── 取材後記



▲アウディ90のサイドビュー。リヤクオーターまわりがこの時代のアウディ80/90らしさを強調

お父様が若い頃に所有していたクルマと同じモデルを所有する(お父様のものより上級グレードなんだとか)という、親孝行な三上さん。お父様が所有しているBMW Z4と2台でランデブーしたり、このアウディ90を運転したり……と、父子のコミュニケーションツールとしての役割も担っているようです。



▲インシュレーターは当時モノ(新車装着時)。30年以上も前とは思えないほど良好なコンディション

実は今回、三上さんにお願いをして、お父様からコメントをいただきました。


『私と同じ車種を選んだことは、息子が90を見つけたときのトキメイタ心はきっと、私が約30年前ショウルームに展示されていた90に一目惚れし衝動買いした、あのときに出会った頃と同じ気持ちだったのかな?と大変嬉しく思ってます。2人で青森へのロングドライブ、首都高ドライブも最高でしたね。まさか90で首都高を走る日が来るとは……。今後も大事に乗り続けて欲しいですね』


……とのことです。三上さん、そしてお父様、ありがとうございます!これからも、親子で素敵な思い出を作ってください!(※息子を持つ父親としてはうらやましい限りです)



▲アウディ90のリヤビュー。思いのほか、フォーシルバーリングスのサイズが小さいことにも注目

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── オーナープロフィール



▲納車から2ヶ月後、お父様とともに両親が写真を撮っていた地獄沼(青森県)を再訪したときのカット。上の画像で運転席に座っているのは三上さんのお母様

・お名前:三上 諒人さん
・ご年齢:21才
・ご職業:会社員
・現在の愛車:1991年式アウディ90クワトロ 20V、2000年式アウディTT



▲愛用の腕時計はSEIKO製のジウジアーロ スピードマスター 7A28-6000('83)というモデル 


▲お父様が実際に所有していたアウディ90の写真を大切に保管している三上さん。撮影がご趣味でフィルム時代のコンパクトカメラを持ち歩いているのだとか

[ライター・撮影/松村透]

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