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コラム

更新2020.08.20

「ES30」そのクルマはアルファ ロメオSZ。超個性がクセになる?

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松村 透

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「ES30」というキーワードで「ああ、あれですね」とすぐにモデル名が思い浮かぶ方は、かなりのクルマ好きかもしれません。



アルファ ロメオSZ。SZはもちろん「Sprint Zagato(スプリント・ザガート)」の略。Zagato(以下、ザガート)は、1919年に設立された、イタリア・ミラノにある名門カロッツェリアであることはいうまでもありません。フェラーリやアストンマーティン、ベントレー、ランチアなど、さまざまな自動車メーカーのモデルをベースに少量生産されるクルマは、熱狂的なファンを獲得しています。最近も「アストンマーティン ヴァンキッシュ ザガート」が世界限定99台で生産されることが発表されました。

かつては、日産レパード(F31型)をベースに製作されたオーテック・ザガート・ステルビオ、そしてザガート・ガビアというモデルが誕生しました。またトヨタからは「ハリアー・ザガート」というモデルも販売されました。

そんな、ザガートの血が混じったアルファ ロメオSZは1989年にデビューしました。アルファ ロメオSZの特徴はなんといってもそのスタイリングにあります。

■アルファ ロメオSZ:全長×全幅×全高:4060x1730x1310(mm)

■アルファ ロメオ スパイダー クワドリフォリオ:全長×全幅×全高:4270x1630x1290(mm)

同年代に販売されていたアルファ ロメオ スパイダーよりも全長が短く、横幅があり、多少高さがある…といったところでしょうか。

そこで、筆者の独断と偏見ではありますが、どことなくフォルムが似ているように感じた、ランチア・インテグラーレやホンダCR-X(2代目)のボディサイズと比較してみると…。

■アルファ ロメオSZ:全長×全幅×全高:4060x1730x1310(mm)

■ランチア デルタ HFインテグラーレ エボルツィオーネII:全長×全幅×全高:3900×1770×1360(mm)

■ホンダCR-X SiR:全長×全幅×全高:3800x1675x1270(mm)

CR-Xは2+2でしたが、アルファ ロメオSZは2シーター。もっとも、CR-Xのリアシートは大人が長時間座れるものではありませんでした。

左右に3つずつ配置された角形のヘッドライトはキャレロ製。ピラーに直付けされたリアスポイラーはケプラー素材。控えめな形状ながら、特に真横からみたときの存在感に驚かされます。

アルファ ロメオ75をベースとしたシャシー。つまりはFR、後輪駆動なのです。ミッションは5MTのみ。エンジンも、アルファ ロメオ75や164に搭載されていたV6 3リッターエンジンをチューニング。排気系にも手を加えた結果、210馬力を発生(アルファ ロメオ75は188馬力)しました。

タイヤサイズは、フロントが205/55 ZR16、リアが255/55 ZR16となります。

ボディカラーはアルファ・ロッソ(赤)のみという設定ながら、黒いSZも存在している模様。シートはベージュ色のレザー張りバケットシートが装着されます。ダッシュボードは黒。カーボンファイバー製のメーターパネルに、ドライバーを包み込むように各メーターが配置されています。

いまでこそ、フェラーリ458イタリアをはじめ、ルーフ部分が黒く塗装されているモデルも増えてきました。その点において、当時のホンダNSXやこのアルファ ロメオSZは異質だったかもしれません。元ピニンファリーナの奥山清行氏が手掛けたエンツォ・フェラーリも、本来であればルーフ部分をカーボンファイバーの地を活かしたかったものの、生産モデルはボディ同色となったのです。

限定1000台が生産されたアルファ ロメオSZ。短期間で開発・製造・販売され、その後はオープンモデルの「RZ」へと引き継がれます。

誕生からすでに四半世紀が過ぎたアルファ ロメオSZは、いまだに「似通った」クルマがないほど、強烈な個性を放っています。アルファ ロメオSZをカッコいいと思うか、まったく好みではないと感じるかは、その人の趣味趣向によるのかもしれません。ひとつだけいえることは「アルファ ロメオSZに魅せられたら最後。代わりになる存在がいない」ことは間違いないでしょう。

[ライター/江上 透]

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