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ライフスタイル

更新2023.07.09

今、SUVは特別なものでなく日常に…。その流れを築いた「先駆者」は? 独自考察から見えたもの

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柴太郎

今からちょうど10年前の2013年。私(柴太郎)はあるクルマ大好き著名人に、この問いかけをしたことをよく覚えている。「今のSUVブームはいつまで続くのでしょう?」。それに対して「この先、ずっと続きますよ。近未来はSUVが当たり前になっているはずです」との返答。


まるで、それを予知しているかのように今、SUVは特別なものでなくあたり前の、いや、なくてはならないカテゴリーになっている。ランボルギーニからもSUVモデルが誕生し、トヨタクラウンがSUVクロスオーバーのカタチになり、中国のBYDは日本進出EVモデルをSUVにするなど、世界中のメーカーが力を入れるモデルは「SUVのカタチ」になっているのが現状。


ブームが沸き起こり、やがて浸透し、日常になっていく……。そんなSUVカテゴリーの流れを築き上げた先駆者たちは数多い。独自考察になるが、数台取りあげて、そのモデルたちの魅力を紹介していきたい。


■「SUV日常化」の始まりは2000年前後。ベンツ初代Mクラスの誕生は衝撃的!



▲Gクラスとは一線を画す仕立てになっていたベンツMクラス。「新たな風」を確かに感じた

SUVがブームになり、今や日常に……。そのSUVの元祖といえるカテゴリーがクロカン、そう、クロスカントリービークルだ。強固なラダーフレーム・プラットフォームが搭載され、オフロードや雪上などの走行を目的に開発されたクルマ(実際には市街地などを走るケースが多いけど……)。


そのクロカンの元祖は、例えば初代レンジローバーや初代メルセデス・ベンツ ゲレンデヴァーゲン(Gクラス)、初代フォード ブロンコなど多数あるが、ここでは、今の「SUV日常化」の礎になったであろうSUVたちを取りあげたい。


時代でいえば2000年前後に登場したモデルたちで、まずはメルセデス・ベンツ初代Mクラス(1998年)。このモデルの登場はまさに衝撃的だった。例えるなら「ブラウン管テレビから液晶テレビへと移り変わったとき」のように!


もともと軍用車両を源流としたGクラスとは一線を画すクルマの「出で立ち」があり、ジープ・グランドチェロキーと共有するプラットフォームに、丸みを帯びた背の高いスタイルで仕立てられた姿。メルセデスベンツ・ブランドの新たな風を感じずにはいられないモデルだった。V6 3.2Lエンジンを搭載し、背は高いがメルセデスの走りをそのまま味わえる。プレミアムSUVのハシリといっていい初代Mクラス。それだけで存在意義は高い。


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■ドイツ名門から次々とSUVが誕生。この「特別感」を世界のクルマ好きは放っておかなかった



▲BMW初のSUVであるX5。背が高いスタイルになっても「駆け抜ける歓び」は健在だ

メルセデス・ベンツとくればBMWの出番。Mクラスの登場から2年、BMWからも初代X5が誕生し、プレミアムSUVジャンルが一気に注目された。


X5はBMW初のSUV。BMWのDNAを注入しつつ都会派仕様に仕立てられたデザイン。5シリーズのプラットフォームを採用し、V8、4.6Lエンジン搭載グレードがあるなど、ここにも「駆け抜ける歓び」は確かにあった。


前項のベンツMクラスとBMW X5の立て続けの登場により、クルマ好きのみならず、一般のユーザーも「クルマ界に新しい何かがやってきた!」と肌で感じとっていたと思う。それが「SUV潮流のはじまり」に違いなかったし、現在のマセラティ レヴァンテやジャガー Fペイスなど、プレミアムSUVの先駆けとなっていったわけである。


それにしても、「あのマセラティから。あのジャガーから……SUVが誕生するなんて!」。ひと昔前では考えられなかった現象だ。それだけ世界中の人々のニーズが高まっていた、ということだろう。


■2000年代が進むと気軽に乗れるSUVも増加。ブームから「SUVの定着」へ



▲今見てもムダのないスタイルの初代フリーランダー。大きすぎないサイズで人気だった

プレミアムSUVたちの誕生はSUVブーム形成の旗振り役になったが、現在の「SUV日常化」を確固たるものにしたのは、もっと身近で手軽に乗れるSUVたちの役割が大きかったと感じる。


ランドローバー初代フリーランダー(1998年)やフォード初代エスケープ(2000年)などが人気を博し、同時期に日本車ではトヨタ初代ハリアーやホンダ初代CR-Vなどが誕生し、国内で大ヒット。その後、VWからは初代ティグアン(2008年)が生まれ、「手頃サイズの新たな価値観を持つクルマ」として、SUVがさらに深くユーザーに浸透していく。


セダンやワゴンに代わる新ジャンルとして認知されていくのも時間の問題という雰囲気があった。大相撲界でいうなら「千代の富士の時代から、若貴の時代」へと代わっていったように(……例えが古いですか?)。


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■個性派モデルがあればスポーツブランドからも登場。そして今、SUVはクルマ界の軸になる



▲ベース車のパンダの車高を上げてアウトドア風仕立てにしたパンダ4×4。「なんだかイイね!」という雰囲気を醸すモデルだ

小型SUVの登場と、その浸透は留まることを知らず、21世紀が進むにつれAセグ、BセグのSUVは続々と登場し、個性的モデルも増えていく。


例えば、写真のフィアットパンダ4×4。これは2004年モデルで、ベースのパンダの車高を上げて大径タイヤを履かせて、ルーフレールを備え、どこかオシャレなSUVに仕立てられている(もちろん4駆性能もよし)。加えてインパネのセンターにシフトがある、という部分も別物感があり、ユーザーの心をつかんだ部分。


このパンダ4×4はほんの一例。世界的なSUVの潮流をつかみ、「イタ・フラ車」からもSUVは次々と誕生し、特にAセグ、Bセグの個性豊かな小型モデルたちは、現在の「SUV日常化」の一翼を担っていることは現在の「イタ・フラ車」モデルラインナップを見てもわかる、というものだ。


そして、ポルシェ初代カイエン(2002年)の誕生!! 当時、「まさか!?」と口をあんぐりするしかなかったほどの衝撃度。世界中の人々が憧れるスポーツブランド、ポルシェからSUVが誕生したわけだから。俳優のレーガン氏が、アメリカ大統領になったのと同じくらいのインパクトだった(……やっぱり古いですか?)。


ポルシェ伝統のV8、4.5Lエンジンを縦置きに配置し、0-100km/hは7.2秒というポルシェらしい走りを体感できて、カタチがSUVというモデル。この特別感は瞬く間に世界中に広がり、大ヒット。そして、ポルシェは現在、911ダカールという伝説モデルの後継SUVも発売。SUVの価値観に広がりを持たせている。



▲「ランボルギーニからはすでに出ているのに、フェラーリのSUVはまだか!?」という声が多いなか誕生したフェラーリ プロサングエ。格好よすぎるぜ!

……2023年の今。SUVはサイズ的に見ても全方位にラインナップされ、個性派モデルも多彩にある。ポルシェをはじめとしたスポーツブランドやスーパーカーブランドからもSUVは次々と誕生している状況で、上写真のフェラーリプロサングエは2022年秋に発表された超注目モデル。


現在、「SUVは特別なものではない。日常的に存在する」と感じるのは、きっと今回取りあげた、SUVブームの流れをつくった「先駆者たち」がいたからこそ。そう、感じずにはいられない。


[画像:Porsche,Mercedes-Benz,BMW,Ford,Fiat,Ferrari・ライター/柴太郎]

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