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コラム

更新2020.08.24

御年76歳。ジョルジェット・ジウジアーロ先生が見せてくれた半歩先の未来とは?

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まつばらあつし

ちょっとでもクルマが好きな昭和のおっさん・・・いや、ヤング・アット・ハートな方々にとって、ジョルジェット・ジウジアーロと言う名前は、一度ならずとも聞いた事があるだろう著名なデザイナーだ。



デロリアンや初代ゴルフ、パンダ。そして、ランチア デルタ…。日本車ならいすゞ117クーペやピアッツアなど、印象的なクルマを数多くデザインしてきたジウジアーロ先生=(敬意を込めて、あえて「先生」と記述したい)が、今年で引退を決意した。…というよりは、自分でつくったイタルデザインからすっぱりと辞めてしまったらしい。1938年生まれなので、御年76歳。潔しである。

ジウジアーロ先生は1960年からベルトーネ社でアルファロメオのジュリアクーペ・スプリント、BMW・3200CS、マツダ・ルーチェ等のデザインに関わった後、カロッツエリア・ギアに移籍。いすゞ117クーペやマセラティ・ギブリ等のデザインを経て、1969年にイタルデザインを設立。現在に至るまで第一線のデザイナーとして、様々なクルマや工業製品に関わってきた「偉大」な人だ。

個人的な印象としては、ジウジアーロ先生の仕事は、多くの先進的デザイナーにありがちな、5年先、10年先のクルマの「未来を見せてくれる」というタイプではない。今年か来年にでも多くの人が手にすることのできるような「半歩先の未来」を具現化してくれたのではないか、と思っている。しかも見せるだけではなく、あとで実際に買えるようになるという点がスゴイ。

DMCデロリアン、ロータス・エスプリなどの裕福層向けのスーパーカー的なジャンルだけでなく、いすゞ117クーペやピアッツアのように、まるでコンセプトカーのようなデザインだけど、お金を払えば買えちゃうという製品(もはや作品)をデザインしている。その他にも、ゴルフやパンダ、ウーノのような「大衆車」も含まれており、その後の小型車の考え方やあり方をリードするような役割を果たしてきた。だからこそ、多くの人は「半歩先の未来」を手にすることができたのだと思う。

我々は、モーターショーやトレードショーに展示されるコンセプトカーで未来を垣間見ている。ジウジアーロ先生は、その未来をほんのちょっとだけ「現在」に引き寄せているのだ。「今よりも進んではいるけれども、未来よりは近い」それを実際に手にすることができるレベルで「デザイン」したからこそ、ジウジアーロ先生の「作品」が製品化され、実際に多くの人が手にすることができたと言える。それこそがジウジアーロ先生の最大の功績ではないだろうか。

たとえ半歩先でも、間違いなく未来には違いない。今、手にしているクルマたちは「未来」を創り上げてきたデザイナーからの贈りもの。我々はジウジアーロ先生から、そのことを無意識のうちに学んでいるのかもしれない。

ジウジアーロ先生、長い間おつかれさまでした。

追記:そういえばワタクシ、ジウジアーロ先生デザインのクルマを所有していたことがある。スズキ・フロンテクーペとフィアット・パンダ。どっちもかくかくと四角い感じで、好きだったなあ。

[ライター/まつばらあつし]

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