
更新2021.05.10
製造から半世紀あまり。イギリスのモータリゼーション黎明期に現れた「羊の皮を被った狼」。中古車市場でもますます貴重になりそうなフォード・コルチナMk1
外車王SOKEN編集部
イギリスの大衆車として愛されたフォード・コルチナ

フォード・コルチナ(最近はコーティナと表記されることが多いみたいですが)は、イギリス・フォードが作っていた乗用車です。1962年から1982年までの二十年間製造されて、その間にマーク1からマーク5までのモデルがあります。
今回ご紹介しますマーク1は、1962年にデビューしました。当時はその3年前にブリティッシュ・モーター・コーポレーションから発売されたMini(ADO15)がよく売れていて、それに対抗するために、無理してあれほど小さくせず、少し大きめでいいのでもっとシンプルな構造の安価なクルマを、といったコンセプトで企画されました。

▲右ハンドルのMTは日本の道路でも使いやすいことでしょう
なので元々は大変オーソドックスな、ごく当たり前の大衆車でした。国産車でたとえると、日産のサニーやトヨタのカローラといった辺りでしょうか。エンジンも1198ccのOHVで、その割安な価格に加えて積載性の良さ、割安な価格で好評を博していました。
全長4270mm、全幅1590mm、重さ800キロ弱のコンパクトな車体のFRは、おそらくそれなりに走ったと思われます。しかしさらにその後1963年には1498ccで57.5馬力の「スーパー」、さらにそのエンジンを75.5馬力までチューンした「GT」が相次いでデビューします。

▲どう見てもただ者じゃ無いエンジン。コグドベルト駆動のDOHCはこの車体に対してひと時代新しい?
その見た目のシンプルさに、いい意味で裏切られるかも?
さて、今回ご紹介させていただくのは1965年式のフォード・コルチナ・マーク1です。ただこのクルマ、どう見てもエンジンがDOHCなんですよね。また、キャブレターもウェーバーの4連です。外見で見る限り、コスワースのBDAエンジンによく似ています。そしてヘッドにはフォードと書かれていますが、「16」の文字も見えます。しかもミッションは5速あるようです。
ただBDAは1969年に開発されたという資料がありますので、年式が合わないですよね。もしかするとコルチナGTに、後付けでコスワースチューンのエンジンを載せた可能性もありますね。

▲なんともシンプルというか時代を感じさせるダッシュボード
あるいはこれ、ただのGTではなくロータスかも知れないですね。
そう、コルチナには1558ccで106馬力を発生するDOHCエンジンを搭載したロータス・コルチナというホットバージョンがあったんですね。元祖・羊の皮を被った狼と呼ばれたそのモデルは、トータルで2800台しか作られていません。ちなみにプリンス自動車がスカイラインを作った時には、そのロータス・コルチナMK1を参考にしたといわれています。
どちらにせよ、ただものでは無いヤバそうな雰囲気を感じます。

▲実に美しいテール周り。この特徴的なツートン、もしかしてロータス?
ところでコルチナというと白馬コルチナスキー場というのがありますね。実はフォード・コルチナの名前もイタリアの有名なスキーリゾート「コルティーナ・ダンペッツォ」から取られたといわれています。

▲洒落た書体のコルチナに、GTの文字が誇らしい
イギリス国内でオーソドックスかつコンベンショナルな車種として親しまれていた、ごく普通の乗用車フォード・コルチナ。そのボディにDOHCエンジンを積んで5速 MTで操る感覚は、軽量なFRの楽しさに溢れていることでしょう。丸目二灯のキュートなフロントから、大胆にサイドを分ける緑色のストライプ。そしてそのままなんとも言えないラインを描いてテールに流れるデザイン。小柄で洒落た外観もまた英国風です。紳士なあなたに小粋に乗りこなしていただきたい、そんな一台です。
さすがに半世紀も経つと、もうそろそろ程度のいい個体に出会えるチャンスはあまり無いかと思われます。どうでしょう、いま乗っておきませんか?
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