この車にはやっぱり、正装して乗りたい。ゲルマンの血を引く正統派英国車・デイムラーDS420

イギリス王室御用達の正統派高級リムジン、デイムラーDS420とは?

ガソリンエンジンを搭載した現在の自動車。そのパイオニアの一人、ゴットリープ・ダイムラーが開発したエンジンを、イギリスで生産するために作られた会社がデイムラーです。

もしかすると現地ではどちらもダイムラーと発音されるのかもしれないですが、それでは本国ドイツのダイムラーと区別がつかなくてややこしいので、日本では英語発音のデイムラーと呼ばれています。ちょっと江戸っ子っぽくて粋でいなせな感じがしますね。…しませんかね。

デイムラーDS420の魅力


▲エンジンの冷却効果を狙ったフルーテッド・グリルはデイムラーのデザインのアイデンティティーでもある

日本の皇室が1912年に導入した初代御料車は、このデイムラー製のランドレー57.2HPでした。思えば1872年に開業した日本最初の鉄道の機関車もイギリス製でしたから、新しい乗り物はやっぱり英国製、という信頼があったのかもしれません。


▲シンプルなスピードメーター。イギリスらしくマイルがメイン

デイムラーは1960年にジャガーに買収されて子会社になってしまうのですが、DS420はその後の1968年にデイムラーブランドで発売されました。

直列6気筒4235cc、なんとDOHCです。全長5740mm、全幅1970mm、重さは2トンを超える堂々たるリムジンですが、245馬力のエンジンで最高速は176km/hと発表されています。


▲上品でクラシカルなホイールにはデイムラーのDがあしらわれる

ジャガー・マークXの下回りにバンデン・プラ製作のボディが載せられたもので、その造りは英国の伝統と格式に則った、まさにイギリス製高級リムジンの典型ともいえるものです。前席を革張り、後席を手触りのよい布張りに、なんていう馬車時代の名残みたいなものまで踏襲されています。伝統と格式に則るにも程がありますね。主にイギリス国内向けで、女王エリザベス二世やエリザベス王太后の御料車にもなっていました。


▲フルーテッド・グリルと並んでデイムラーらしさを感じさせる波形のボンネット

生産はジャガーの工場で行われましたが、ほぼ手作りで多くは作られず、1992年に終了するまでのトータルで4141台とされています。

あの高級車の代名詞ロールス・ロイスのファントムと競合する車種で、非常に格式の高い高級リムジンでしたが、ジャガーの部品を一部流用するなどしてコストダウンも図られていて、イギリス国内では1/4程の価格でした。


▲時代を感じさせるコンビネーションテールランプ。細部まで手抜かりの無いデザイン

最後に、デイムラーDS420とは

価格は安くても格は同等ですから、その乗り心地も快適性も、また走行性能もまさに高級車です。基本的にショーファードリブンの車ですから、主に後席の快適さが追求されていて、前席との間にはパーテーションが備えられています。この車で家族旅行に行って、運転するお父さん以外みんな後ろの席に座られたらきっと寂しくて泣きたくなりますね。


▲ルーカスのヘッドライト。オーセンティックなレンズカットは現代のマルチリフレクターにはない美しさ

それでもめげず、卑屈にならず、愚痴や文句なんてまったく口に出さず。例え、お盆帰省の地獄の渋滞に巻き込まれても悪態を吐くなどもってのほか。タフにジェントルに運転をこなし、目的地に着けば妻子のために、あくまでスマートにさっとドアを開けてあげる。そんな紳士の嗜みを身につけたあなたに相応しい、デイムラーDS420。

格式の高さがそこかしこに溢れています。英国の伝統に育まれた正統派高級車、いかがですか?

[ライター/外車王編集部]

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