ストイックさを極めた先にある、いけない享楽の世界。ドライビングプレジャーの極北、ケーターハム・スーパーセブン

見た目はちょっとレトロなかわいいクルマ。しかしその実態は乗り手を選ぶ猛烈なロード・ゴーイング・レーサー。今回はケーターハム・スーパーセブンの魅力についてご紹介します。

ケーターハム・スーパーセブンとは

「楽しいクルマ」という言葉があります。もともとクルマは人やものを運ぶための道具であって、その効率を示す言葉として「速いクルマ」や「遅いクルマ」という表現はあって当然ですが、この「楽しい」という評価はいったい何なのでしょうか。

「速い」か「遅い」かは単純に最高速度や登坂能力を調べれば比較もできるでしょう。しかし「楽しい」という評価の基準はそれほど単純ではありません。そもそもクルマは楽しいものなのか、人はなぜクルマの運転を楽しいと感じる(個人差があります)のか、といった辺りから考えないといけないからです。

ケーターハム・スーパーセブンの魅力


▲ダブルウイッシュボーンのフロントサスペンション。機構が丸見えで良くわかります

楽しさのひとつの要素として考えられるのは「俊敏さ」でしょう。意識高い系のクルマ好きは「アジリティ」なんて言いますが。例えばジェットコースターが楽しいのは、クイックに動くからです。速さだけだったら新幹線の方が楽しいはずですが、やっぱり横Gや縦Gに翻弄されなければ楽しくはないでしょう。そういう機敏に動く、スポーティかつスパルタンなクルマ。それだけシビアなコントロールが必要ですが、これを乗りこなすというのは文句なしに楽しい。ここは間違いないでしょう。


▲エアクリーナーは外にむき出しですから、雨の日は気をつけましょう

クルマの運動性を高めるために一番大切なことは軽量化です。たとえば加速や最高速に関しては多少クルマが重くても、大きくてパワフルなエンジンを積めば解決します。しかしカーブで働く遠心力や、ブレーキング時にのしかかってくる慣性の力は、これはクルマが重ければ重いほど大きくなります。つまり「曲がらない、止まらない」になってしまうんですね。

ただ、クルマに乗る人みんなが速さや敏捷さを求めているわけではありません。ゆったり楽に走れる穏やかな、悪く言えばどんくさいクルマが好きな人も居ますし、クルマを動く自室と考えて、とにかくリラックスできる空間が大切だと思ってる人も居るでしょう。そういう人たちは少しくらい車重が増えても気にしない、むしろ動きがダルになって乗り心地がよい、快適だ、なんて思うかもしれません。


▲シンプルにも程があるメーター周り

そんな中、とにかく「楽しさ」だけを追求すると行き着くクルマが、このケーターハム・スーパーセブンです。走るために必要なもの以外全て省略された自動車。エアコン、パワステ、集中ドアロック、パワーウインドウ、どれもありません。ていうか、サイドの窓そのものがありません。そもそもドアもありません。じつはフロントウインドウもオプションらしいです。「いや、そこ省略したらあかんのちゃいますの?」と思わず突っ込んでしまいたくなるほどに。

また、雨の時には一応専用の幌(これもオプションらしいです)があるのですが、乗り降りは窓部分からなので、めちゃくちゃしにくいです。上半身から飛び込むように乗り込んで、ってやり方になるかと思いますが、ということはこれ「先に助手席に誰か座ってたら乗り込めない」んですね。つまりツーシーターなのに一人しか乗れない、ということですね。

実用性や快適さ、高級さ、そんな要素を無視して楽しさを追求した、まさに楽しいクルマの極北です。


▲幌はここに収納できますが、荷物は積めません

もともとこのクルマは、ロータスというイギリスのメーカーが出していたキットカーでした。買った人が自分で組み立てるのです。そのためものすごくシンプルな造りをしていました。その後ロータスは、もうちょっと普通の自動車っぽいロータス・ヨーロッパを作るようになって、セブンは終了になりました。しかし、セブンがとてつもなく好きだったとあるロータスのディーラーが、「だったらうちで作らせてよ」ってことで、生産を引き継いで作ったのが、いまのこのケーターハム・スーパーセブンです。

あまりにも有名なクルマで、なおかつエンジンのバリエーションも多く、年式や仕様を追っていくと文字数がいくらあっても足りなくなりそうなので、あえてその辺りは触れませんが。


▲エンジンには補機類がほとんどついてないですね…

スーパーセブンの武器は、とにかくその軽さです。モデルやバリエーションで多少変わりますが、だいたい500kg台、ものによっては少し切ってしまうくらいのべらぼうな軽さです。それに1600とか2000とかのエンジンを積んでいるんですから、速くないわけがない。そしてハンドリングがクイックでないわけがない。ほぼゆとりとかくつろぎとかと無縁のドライバーズシートに収まって、目の前の小径ステアリングを握ると、過去はみな蜃気楼です。いまいち意味不明ですが、そんな感じです。あとはもうひたすら迫り来るコーナーを楽しむだけ。背後に迫るお巡りさんと、前輪が跳ね上げる石つぶてにだけは、よく気をつけて。


▲この前輪が巻き上げた小石がドライバーを直撃することが…

最後に、ケーターハム・スーパーセブンとは

別にレーサーになりたいわけではない。でも、出来ればもっと刺激的な走りを楽しみたい。そんなオーディナリーピープルのあなたにも。純粋に走りを楽しむ為だけに生まれた生粋のスポーツカー、ケーターハム・スーパーセブンはいかがでしょうか。

[ライター/外車王編集部]

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