’50の空気を楽しみたい!フォルクスワーゲン タイプ1 オーバルの魅力とは

世界で一番多く作られた国民車、タイプ1。そのビンテージモデル、オーバルがまとう’50の空気はビンテージ好きにはたまりませんよね。今回はそんなフォルクスワーゲン タイプ1の魅力にをご紹介いたします!

フォルクスワーゲン タイプ1とは

世界中で愛されたフォルクスワーゲン・タイプ1。一般的には「ビートル」と呼ばれるその車は、1938年から2003年まで足かけ65年にもわたって生産されました。累計生産台数2152万9464台、これは当然他を大きく引き離しての世界一です。ちなみに輸送機として世界で一番多く作られたのはホンダのカブで、こちらは一億台を超えて現在も造られ続けています。どちらも世界に冠たる実用車、という意味で似たところがあるかも知れません。

フォルクスワーゲン タイプ1の魅力


▲非常にシンプルかつ美しいメーターまわり。放射状に描かれた数字がこの時代のドイツらしい

とにかくたくさん作られたビートルなので、日本でも昔からよく見かけました。

昭和40年代くらいまでは、とくにお医者さんが乗ってた印象があります。これは実際に、空冷エンジンのために暖機運転が短くて済み、また信頼性が高かったからドクターカーとして使われることが多かったようです。往診で走り回るビートル、そんな光景をよく見ました。

ビートルに搭載された空冷水平対向4気筒OHVエンジンは、最初1リッターの排気量でしたがすぐに1.1、1.2、1.3と拡大され、最後のモデルでは1.6リッターまで拡大されました。

開発された当時の基準に照らしても低回転型のエンジンで、比較的ショートストロークだったことも相俟ってピストンスピードが高くなく、その分耐久性の高いエンジンでした。無理にパワーを絞り出さない余裕のある設計なので、故障が少なく長寿命。ただそれは裏を返すと「排気量のわりにパワーが無い」ということにもなるのですが、意外と軽い車体のおかげで現在の交通の流れにもしっかり乗れる性能を持っています。

また、ドアを閉める際には少しウインドウを下げておかないと耳がつーんとなる、とさえいわれるボディの気密性の高さも有名です。とくになんの対策もしなくても、そのまま十分以上(一説によると四十分以上)水に浮いていられるともいわれます。実際に車ごと川に流されて、下流で助かったという逸話も残されています。

第二次大戦中は、まだ開発途中だったこのビートルのコンポーネントに、平面的なパネルの車体を載せたキューベルワーゲンや、船のような車体を組み合わせた水陸両用のシュビムワーゲンなども造られました。これはビートルの基本的な機構が、そのまま軍用車に転用できるほど頑丈で完成されたものだったということでしょう。


▲七宝焼きのクレスト。これは前期型

さて、今回のオーバルですが、1953年から1957年までの、リヤウインドウが楕円形になったモデルを言います。ちなみにこれ以前のモデルはテールウインドウがまん中で分割されたスプリットウインドウでした。

非常に小さなテールランプも特徴的で、ウインカーとストップランプも兼ねています。これもオーバルテールと呼ばれ、人気です。ダッシュボードもオーバルダッシュと呼ばれるもので、中央部分はラジオのスピーカーになっています。

また、この時代のビートルは、フロントフードの先端に七宝焼きのエンブレム(クレスト)が付けられていました。ウォルフスブルクエンブレムと呼ばれるもので、緻密なデザインの前期型と、簡略化された後期型があります。

排気量は1200ccで、電装は6Vでした。ただしこの辺りは後に換装されたり12V化されたりした個体も多いです。


▲オーバルの愛称の由来になった、長円形のリヤウインドウ

永年にわたって造り続けられたビートルは、時代とともに細かな変更を受けてどんどん変化しました。先にも書いたとおり排気量は大きくなっていきましたし、電装は6Vから12Vになりました。衝突安全性の面からバンパーも大きくなり、視認性や規格の変更に合わせてテールランプも大型化していきました。ヘッドランプも楕円形の寝たものからまん丸で真っすぐに立ったものに変わりました。そんなさまざまなスタイルのビートルの中で、ファンの人気を集めているのはやはりこのオーバルの時代のものでしょう。カスタムの多くがこれを目指していることでもそれがうかがえます。

ポルシェ博士が永年温め、実現を夢見ていた国民車の構想に、ヒトラーが目をつけ援助して生まれたフォルクスワーゲン。

「頑丈で維持費が安く、大人4人乗りで連続巡航速度100km/h以上、7Lの燃料で100km走れて、空冷エンジン。そして値段は1000マルク以下」という厳しい条件をクリアした革新的な自動車でした。

しかしその当のヒトラーが戦争に走ってしまったために日の目を見ること無く、あわや消えてしまう運命を辿りそうになります。ところが戦後、空爆を受けて大きな被害を被ったフォルクスワーゲンの工場を管理するためにやってきた、イギリス軍将校アイヴァン・ハーストという人が実に先見の明のある人で、この人の努力のおかげでビートルは量産され、市販されたのです。


▲ハンドルまわりの佇まいも美しい。まん中にラジオのスピーカー、いわゆるオーバルダッシュ

最後に、フォルクスワーゲン タイプ1とは

数奇な運命に翻弄されながらも、やがて世界中で愛されるベストセラーに育ったフォルクスワーゲンタイプ1、ビートル。その愛らしいスタイルは街にも田舎にも、そして浜辺にも。どこに置いても絵になります。現代でも充分に実用的な、足として使えるビンテージです。

[ライター/外車王編集部]

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