フランスの農村から世界へ。シンプルでお洒落なシトロエン 2CVの魅力

クラシカルでキュートなスタイルで人気のシトロエン2CV。1948年から1990年まで、基本的に変わることなく造られ続けた超ロングランモデルです。合計で387万2583台生産されました(Wikipediaより)。今回はそんな「シトロエン2CV」の魅力をご紹介いたします!

シトロエン 2CVとは?

2CVというのは2馬力という意味ですが、これはフランスで自動車税を計算するために定められている「課税標準馬力」というもののカテゴリー上の区分で、実際に1.47kwの出力というわけではありません。初期型の2CVは排気量375ccで9馬力、最高速度55km/hという当時としては実用的な性能を持っていました。

排気量はその後徐々に拡大されて、最終的には602cc、32馬力(本当の最終型は29馬力に落として燃費を改善した)、最高速は110km/hになりました。


▲120km/hフルスケールのメーター。ほぼ振り切る性能を持っている

開発の際にBMWのオートバイも参考にしたという空冷水平対向2気筒エンジンは、360度クランクの等間隔爆発ではなく「同爆」で、爆発間隔の大きさを埋めて、円滑な回転を得るためにフライホイールが重くなっていました。

そもそも農村の人々のための道具として開発されたといわれている2CVですから、あまり整備されていないでこぼこ道を走るのに、500kg台の軽さとこの大きなフライホイールからくる低速での粘りが強みを発揮したことでしょう。

2CVのミッションは四速で、しっかりとシンクロも入っているので、ごく当たり前に乗ることができます。ただし、シフトノブはダッシュボードから生えていて、まるで雨傘の把手のような先が曲がった棒です。曲がった先には玉が付いていますが。これを左に捻って引くと一速、上に向けて押し込むと二速、という独特な操作です。

なんとなくわかりにくく感じるかもしれませんが、「ボンネットの中に普通のシフトノブがある」と考えると納得しやすいです。通常のシフトの頭につながった棒を押したり引いたりして動かしている感じ、ですね。なぜこのようなことになっているかというと、ミッションが運転席よりかなり前にあるからです。

シトロエン 2CVの魅力


▲トラクシオン・アヴァンの流れをくむFFレイアウト

いまさらながら触れますが、2CVはFFです。今でこそコンパクトカーなどはFFが主流ですが、2CVが発表された頃には珍しかったことでしょう。シトロエンは戦前から前輪駆動車(トラクシオン・アヴァン)を造っていてノウハウがあったこと、シンプルな構造で軽量化に有利なこと、プロペラシャフトのトンネルが通らないので車内を広く取れることなどがFFを採用した理由でしょう。ほとんどの機械はほぼフロントにかたまっていて、運転席以降は簡素な鉄の箱、という感じです。

室内は現代のクルマと比べて横幅こそ広くないですが、前後長は充分にあって、さらに天井が高いので窮屈さは感じません。簡素なシートは意外にも座り心地が良く、さらにキャンバストップを開け放つと実に開放的で快適なドライブが楽しめます。シートは簡単に取り外しができるので、アウトドアではリアシートを外してベンチの代わりにする、なんていうシアワセな使い方もできます。


▲シトロエンらしさあふれる一本スポークのステアリング。ショックを吸収してドライバーの安全に寄与するとともに、メーターの邪魔をしない

エンジンをかけて走り出すと、思いのほか軽快に加速します。一般道でも高速道路でも、現代の交通の流れにも充分に乗れますし、実はクルマのパワーなんて30馬力もあれば充分なのではないか、という気分にさせられます。パワーステアリングやABSはおろか、実はエアコンでさえも過剰な装備なのではないかなんて思ってしまう、そんな根源的なクルマの魅力にあふれているのです。

実用性を追求した機能美デザイン

今でこそお洒落なクラシックカーとして人気の2CVですが、もともとは純粋な実用車で、デザインは二の次で開発されたといわれています。実際のところ、発表された際にはその外見が酷評されました。しかし、実用性を追求して出来上がったデザインは実は機能美そのもので、それが徐々に理解されて今では世界中で愛されているのです。


▲最近のエコタイヤの流れを予見したかのような、幅の細いタイヤ。軽い車体と相俟って、予想外の走破性と乗り心地を発揮する

たとえば、コストを抑えるため、ガラスもボディもほとんどが平面で構成されています。しかし強度を出すために丸くしたボンネット、天井の高さを確保するために大きく立ち上がったフロントガラス、それになだらかなカーブでつながるキャンバストップなど、実用上の理由、裏付けに満ちあふれた造形が、結果として丸くてかわいいこの形になった。そこにフランス人のほとんど無意識な部分での美意識が現れている、と感じるのは筆者の思い込みでしょうか。

最後に、シトロエン 2CVとは

必要にして十分な性能、壊れるところの少ないシンプルな構造。シトロエン2CVは、まるでカブやベスパのように当たり前に乗っていただきたい、お洒落で実用的なクルマです。

[ライター/外車王編集部]

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